国立感染症研究所 感染症情報センター
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感染症情報センターについて

主な機能

1996年夏のO157大腸菌による大規模食中毒の発生を契機として、国民の感染症に対する考えが一変し、感染症を危機管理の面から見る必要性が認識された。また世界的に見ても、近年感染症に関する認識が大きく変わった。先進国では1970年代には感染症は解決済みとの見解が主流であったのが、1990年代に入って"Emerging/re-emerging infectious disease(新興・再興感染症)"という概念が米国で提唱された。

このような背景のもとに、1997年4月国立予防衛生研究所は「国立感染症研究所」と名称変更になった。組織上最大の変更点は感染症情報センターの発足である。今までの予防衛生研究所の活動は実験室でのものが主であったのが、感染症対策には実験室科学と疫学との統合が重要であり、病原微生物実験部門とともに、感染症の情報と疫学を扱う非実験部門とが一緒に在ることが必要であると認識されたのである。以下に感染症情報センターの主たる機能について述べる。

1) 感染症サーベイランスデータの集計、感染症情報の収集、解析、その情報の国民への提供

1999年4月に施行された感染症新法に基づく感染症サーベイランスのデータが、感染症情報センターに保健所(患者発生)と地方衛生研究所(病原体検出)からオンラインで集まる。このデータを監視して、解析・評価し、週報および月報としてホームページから発信している。月報「病原微生物検出情報」は印刷物としても発行している。
(*病原微生物検出情報1999年4月号9ページ〜12ページ参照)

2)外国の感染症機関との情報交換

近年、国境を越える物(輸入食品・動物)と人(海外渡航者)の動きが激しくなり、それに乗って病原体が国内に侵入する可能性が高まって、先進諸国は危機管理、国家の安全という面から警戒態勢を強めている。国同士の感染症情報の交換の必要性も高まっている。
外国から情報をもらうためには日本の情報も出さなくてはならない。そのために週報、月報の一部は英訳して外国にも発信している。公表前の情報、あるいは公表されない情報の交換ができるためには、日頃から外国のサーベイランスセンターと密な連携をとっておくだけでなく、人的交流もしておくことが必要である。

3) 感染症集団発生の疫学調査、およびそれを実行する専門家の養成

感染症の流行・集団発生時に病原体が確定されるまで、あるいは病原体が確定されてもその伝播経路が不明の場合、あるいは未知の病原体である場合、病原体の専門家ではなく、現地で迅速に疫学調査を行い、かつ適切な病原体分離材料を採集する専門家が必要である。このような専門家は日本では今まで養成されて来なかったが、危機管理の面からそれは必要であり、1999年9月からその専門家の養成コースを開始している (Field Epidemiology Training Program : FETP) 。

4) 感染症予防制圧戦略の研究、および提言

長期的な予防制圧戦略を構築しておくことが必要である。そのためには感染症の変貌を歴史的・長期的視野から俯瞰し、将来の変化を予測し、それに備える戦略の研究をする。予防接種計画の長期戦略を構築し、それを行政に提言することも目標の一つである。


 

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