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感染地域・感染国:589例の感染地域(確定または推定として報告されている)をみると、アジア539例、南米15例、オセアニア14例、中米7例、アフリカ7例、カリブ海諸国6例、中東1例で、アジアが全体の91.5%を占めた(表1)。国別ではインドネシア146例、インド90例、フィリピン83例、タイ64例、ベトナム26例、マレーシア24例、カンボジア20例が多かった(表1)。2010年に報告数が急増したが、特にインドネシア、インド、フィリピン、タイの報告が多く、カンボジア、ラオスでも増加がみられた。また、日本からの渡航者における罹患状況を把握するために、住所が日本国内のもの*574例に限ってみても、感染地域・感染国は同様の傾向であった(表2)(*住所が報告されていなかった2006年3月までは、最近数年間の主な居住地が国内と報告されたものとした。なお、逆に2006年4月からは最近数年間の主な居住地は報告されなくなったため、住所が国内の中には海外からの移住者が一部含まれている可能性もある)。
症状:届出票が疾患毎に個別のものとなり、症状の記載方法が変更された(自由記載形式から主な症状が選択形式となった)2006年4月以降に報告のあった581例の症状をみた。出血熱患者(24例)、無症状病原体保有者(1例)を除く556例では、発熱551例(99.1%)(うち、2日以上続く発熱423例)、血小板減少369例(66.4%)(うち、100,000/mm3 以下の血小板減少257例)、頭痛320例(57.6%)、白血球減少308例(55.4%)、発疹293例(52.7%)が過半数でみられ、以下、骨関節痛173例、全身の筋肉痛162例、血清蛋白の低下28例、Tourniquetテスト陽性22例、出血22例、ヘマトクリットの上昇(補液なしで、同性、同年代の者に比べ20%以上の上昇)16例、胸水5例、腹水5例が報告された。出血熱患者24例では、届出基準に基づき、2日以上続く発熱および100,000/mm3 以下の血小板減少は全例で報告され、血管透過性の亢進の指標としてはヘマトクリットの上昇(補液なしで、同性、同年代の者に比べ20%以上の上昇)7例、ショック症状5例、血清蛋白の低下18例、胸水3例、腹水4例(複数回答有り)が、また出血傾向の指標としてTourniquetテスト陽性3例、出血21例が報告された。
前述したように、異なる血清型のデングウイルスに再感染することによりデング出血熱へのリスクが高くなる可能性を考えると、渡航者への注意喚起として、感染したウイルスの血清型や地域に流行しているデングウイルス血清型を知っておくことは有用と思われるが、実際には、前者については診療には必ずしも必要でないことから実施されないことが多く、後者については流行地域でのデング熱ウイルスサーベイランスの実施状況にも左右され困難な場合が少なくないと考えられる。 デング熱の治療としては、抗デングウイルス薬は存在せず、疾患特異的な治療法はなく、輸液や鎮痛解熱剤などの対症療法となる。鎮痛解熱剤には出血傾向やアシドーシスを助長することからデング熱の治療には禁忌とされるものもある。帰国時に発熱などの症状がある場合には検疫所に相談すること、帰国後に症状を認めた場合には速やかに医療機関を受診し、医師に渡航歴を伝えることが重要である。予防については、ワクチンは開発中であり現在使用可能ではないため、最も重要で簡便な予防法として、熱帯・亜熱帯地域への渡航に際して現地でのデング熱の流行状況を正確に把握すること、長袖・長ズボンの着用、昆虫忌避剤の使用などによって蚊に刺されないよう注意することが重要である。
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