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病型別累積報告数は、臨床診断例129例(28.4%)、検査診断例152例(33.4%)、修飾麻しん(検査診断例)174例(38.2%)となっており、修飾麻しんを含めた検査診断例の割合は71.6%と2009年の60.4%から11.2ポイント増加した(図4)。 年齢群別では0〜4歳185例(40.7%)、35〜39歳41例(9.0%)、10〜14歳38例(8.4%)、15〜19歳33例(7.3%)、25〜29歳30例(6.6%)、5〜9歳/20〜24歳28例(6.2%)の順となっている。年齢別では、1歳104例、0歳30例、2歳22例、3歳20例で、0〜3歳、特に1歳が患者発生の中心であり、2008年に認められた14〜17歳の患者の集積は認められず、2009年と同様の傾向であった。 麻しん含有ワクチンの接種歴別の報告数は、接種歴なし110例(24.2%)、1回接種197例(43.3%)、2回接種29例(6.4%)、接種歴不明119例(26.2%)となっており、1回接種者が最も多く、次いで接種歴不明者、ワクチン未接種者の順であった(図5)。 このうち、1回の接種歴のある症例の割合が多い5歳以下の症例を検討した。この年齢群の患者総数は190例であり、このうち119例(63%)に接種歴があった。これらのなかでワクチンの接種日と麻しんの発症日の記載があったものが75例、うち10例は接種日から発症日までが28日以下であり、ワクチンそのものの反応によるものも否定できない症例であった。この10例を除いた接種歴のある5歳以下の症例計109例の診断方法は、臨床診断例23例(21.1%)、検査診断例49例(45.0%)、修飾麻しん(検査診断例)37例(33.9%)であった。修飾麻しんを含めた検査診断例86例の診断方法については、IgM抗体価のみ82例(95.3%)、IgM抗体価およびペア血清2例(2.3%)、IgM抗体価および分離・同定1例(1.2%)、ペア血清のみ1例(1.2%)であった。自由記載により報告された範囲の情報として、IgM抗体価のみで検査診断されたもののなかには、PCR検査陰性の症例が1例、IgM抗体価が弱陽性(1.11〜3.13)の症例が6例あった。 また遺伝子型の情報を得られた症例は20例あり、D9が最も多く15例(75%)、次いでH1 2例(10%)、D4、D5、D8はそれぞれ1例(5%)だった(図6)
麻しんの合併症について、肺炎合併例は17例の報告があったが、全報告数に占める割合は3.7%であり、昨年(19/732=2.6%)と有意差はなかった(p=0.25)。年齢、または年齢群別では、0〜2歳の症例で半数以上を占め、特に1歳が5例(29.4%)と最も多かった(図7)。年齢群毎の総報告数に占める肺炎合併例の割合は、0歳10%(3/30)、1歳4.8%(5/104)、2〜4歳5.9%(3/51)で、この年齢群での肺炎合併頻度は他の年齢群よりも高かった。脳炎の報告は1例あり年齢群は70代であった。 感染地域について、国外、国内①(国外例と疫学的に関連)、国内②(国外例との疫学的関連は認められなかったが、遺伝子型がD5 以外のもの)、 国内③(①、②以外)、国外または国内か判別が困難だったもの、の5つに分類して、週別報告数を 図8に表わした。③を「国内例」、それ以外(国外、国内①、国内②、国外または国内)を「国外例」とすると、「国外例」は33例で7.3%を占め、 2009年の2.5%(18例/732例)と比べると相対的に増加した。また、2010年12月には、海外感染例を初発とし、ワクチン未接種者の症例を中心とした 小学校での集団発生も報告された(フィリピンからのD9型輸入麻疹および関連症例の発生−愛知県、IASR速報:http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3723.html)。
上述したように、麻しんの報告数は2008年の11,012例と比較して96%減少し、2009年の732例からは38%の減少となった。2大重症合併症のうち、肺炎については発症率は昨年と比較し変化がなく、脳炎は2年ぶりに1例の報告があった。死亡については少なくとも届出時点では報告例はなかった。このように全体の報告数が減少するなか、臨床症状にもとづく診断がますます困難となり検査診断の重要性が増しているが、2010年11月11日に検査診断に関する通知(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou21/tsuuchi_101111_01.html)が発出され、より正確に麻しんの診断が行える遺伝子検査が積極的に行われるようになった。上述の国外例を発端とする集団感染もこの遺伝子型による診断でその規模を正確に把握することが可能であった。このように、遺伝子検査は海外感染例およびその疫学的関連のある症例を正確に診断するだけでなく、「国内土着株」の排除の過程を確認するうえでも非常に重要である。また、発熱や発疹の発症日や検査検体の採取日、IgM抗体価を把握することで、伝染性紅斑などの他疾患との交差反応が指摘されているIgM抗体検査結果をより正確に判断し麻しんをより正確に診断することが可能となる。これらの結果を反映できるよう、4月1日より届出票も改訂された(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/pdf/01-05-14-03.pdf)。届出医や自治体の保健部署担当の方々には、それらの項目の届出や把握についてご協力いただきたい。なお、検査診断の考え方については、http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/pdf01/arugorizumu.pdf を参考にしていただきたい。 日本における麻しんの排除を達成するためには、日本国内における麻しんウイルスへの感受性者を極力なくすことが不可欠で、それを達成するには2回の麻しん含有ワクチン接種率を95%以上にすることが求められる。2008年4月1日から2013年3月31日までの5年間の期限付き措置として、1回しか定期予防接種(以下、定期接種)の機会がなかった年齢層のうち、第3期(中学校1年生相当年齢)、第4期(高校3年生相当年齢)の年齢の者に対する2回目の定期接種が導入された。中学校、高校などの学校現場では、定期接種対象年齢の者における麻しん罹患歴や麻しん含有ワクチン接種歴の積極的な把握とワクチンの接種勧奨がなされている。しかし、麻しん含有ワクチン接種率は、全国平均で2009年度:第1期93.6%、第2期92.3%、第3期85.9%、第4期77.0%と、第3、4期の接種率が90%にも及ばず、2010年12月時点の2010年度中間評価では、全国平均で第2期70.9%、第3期68.9%、第4期58.8%という状況である。従来麻しんの流行期は春から初夏であり、定期接種対象者(1歳児、小学校入学前1年間の者、中学1年生相当年齢の者、高校3年生相当年齢の者)は、すみやかに接種を受けていただきたい(自治体によっては定期接種対象者以外の小児などでも公費助成がうけられる場合がある)。また、麻しんの罹患歴がない、または不明な方で、麻しん予防接種が未接種あるいは1回のみの接種の方、予防接種歴が不明の方は、定期接種対象外であっても積極的に麻しん予防接種を受けていただきたい。さらに、麻しんに感染したり、感染させたりするリスクの高い医療従事者や学校・福祉関係の従事者も罹患歴や接種歴が不明な場合には、積極的に接種を受けることが勧められる。 以下に、麻しん関連情報として感染症情報センターのホームページに掲載されている主な項目とそのURLを挙げる。麻しん対策として活用いただければ幸いである。 ■麻疹(はしか):http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html |
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