国立感染症研究所 感染症情報センター
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感染症法施行後のオウム病症例


 オウム病の発生動向については、感染症法の施行(1999年4月)以前は、肺炎を呈した症例が定点把握疾患の「異型肺炎」として把握されていた可能性がある程度で、詳細な実態は不明であった。感染症法では4類感染症に規定され、現在は診断した全ての医師に届け出が義務づけられている。

 1999年4月より2003年第50週までに173例の報告があり、2001年の神奈川県動物公園、2002年の島根県鳥展示施設の集団発生を除くと、2000〜2003年には年毎に増加している(図1)

 以下に、感染症法施行以降の累積データにつき、その集計結果を示す。

 都道府県別では大阪府22例、東京都19例が多かったが、一方、1例も報告のない県が10県みられた。発症日を月別にみると、5〜6月の鳥の繁殖期に多いほか、1〜4月もやや多かった(図2)。年齢別では0〜9歳1例、10〜19歳7例、20〜29歳13例、30〜39歳25例、40〜49歳26例、50〜59歳42例、60〜69歳29例、70歳以上30例と、50歳代をピークに幅広い年齢層にわたっていた。男女別では男性75例、女性98例と女性の方がやや多かった。同疾患または同様の症状を有する者の有無に関しては、「無し」が111例(64%)、「同居者にいる」が37例(21%)、「同じ職場や学校などにいる」が11例(6%)、その他が14例(8%)であった。

 推定感染源としては、「動物などからの感染あり」と報告されたものが154例で、動物の種類については、135例が鳥であった。鳥の種類ではインコに関連したもの(インコ、インコ・オウム、インコ・他)が93例(約70%)であった(図3)。他に、オウムに関連したもの(オウム、インコ・オウム、オウム・他)が11例、ハトに関連したもの(ハト、ハト・他)が13例みられた。

 今後の対策に役立てるため、媒介動物については鳥の種類など、さらに推定感染地域・感染経路(原因となる行動)などについて、できるだけ具体的な情報を記載していただきたい。

図1. オウム病の年次別報告数(報告日) 図2. オウム病の月別発生状況(発病日)(1999年4月〜2003年50週) 図3. オウム病の推定感染源別発生状況(1999年4月〜2003年50週)

*IASR Vol.23 No.10(2002年10月発行)特集記事も併せてご参照下さい。



IDWR 2003年第51号「速報」より掲載)



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