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5/12/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)−51



WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告
(5月9日、更新第51報)



中国の状況、全世界で7000人を超える
SARS症例と500人を超える死亡者

中国の状況
現在WHOの事務局長に指名されているJong-Wook Lee博士は、1日だけの滞在予定で、本日北京に到着した。Wu Yi副首相及び、保健省や外務省の官僚達と会見する予定である。この訪問は中国におけるSARSの状況と、その他の健康問題についての意見交換を目的としている。

1月にWHOの事務局長に指名されたLee博士は、現在WHOの結核撲滅作戦を指揮している。彼はWHOの技術、管理、政策に関する立場でこれまで19年間働いてきており、結核の仕事の前は、子供達のワクチンで防げる病気による死亡を減らすための仕事を指揮していた。

Lee博士はWHO西太平洋地域事務局の任期中、特にポリオの地域根絶を成功に繋げるために、何度も中国を訪れている。

今月末に召集されるWHO総会で承認されれば、Lee博士はGro Harlem Brundtland博士の後継者として2003年7月に5年間のWHO事務局長の任務を正式に開始することになる。

中国は本日新たに118例のSARS「可能性例」と6例の死亡例を報告し、累積で4805例の「可能性例」と230例の死亡例となった。

これらのうち、北京は48例の「可能性例」と2例の死亡例を、内モンゴル自治区は20例の「可能性例」と1例の死亡例を、上海は11例の「可能性例」を、河北省は9例の「可能性例」と2例の死亡例をそれぞれ新たに報告している。残りの1例の死亡例は天津からの報告である。

昨日、WHOチームは北京市と接している河北省へ出向きSARSの状況調査を行った。このWHOの調査は中国衛生署と共同で行われ、WHO-中国衛生署チームとしての初めての調査であった。河北省は北京の流動人口となる、多数の移民労働者を抱えている省であり、WHOは河北省が特にSARSの拡大の被害を受けるのではないかと危惧している。

河北省の調査は2つの部分からなる。ひとつはサーベイランスと症例報告システムの再検討、もうひとつは患者管理と感染防止対策の状況評価を目的とした病院訪問である。他の地域のいくつかの流行において、感染防止対策の間違いから多数の病院職員の感染が生じている。

全世界で、7000人を超える症例と500人を超える死亡者
本日までに累積で、7183例のSARS「可能性例」と、514例の死亡例が、6つの大陸の30の国から報告された。昨日と比較して、144例の新たな症例と、8例の死亡者の増加である。新たな死亡例のうち6例は中国から、2例は香港特別行政区からの報告である。
先週1週間で、世界中から1000例を超える新たな「可能性例」と96例の死亡例が報告された。

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