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細菌性赤痢は通常1〜3日の潜伏期の後に、全身倦怠感、悪寒を伴う急激な発熱で発症し、発熱が1〜2日続いた後、水様性下痢、腹痛、しぶり腹、膿粘血便などのいわゆる赤痢症状が出現する腸管感染症である。原因菌はShigella 属の4つの菌種(S. dysenteriae、S. flexneri、S. boydii、S. sonnei )である。菌種は亜群とも呼ばれ、それぞれA群、B群、C群、D群に該当する。通常、S. dysenteriae、S. flexneri は典型的な赤痢症状を起こすことが多いが、S. sonnei では軽度の下痢、あるいは無症状で経過することが多いとされる。
国内感染例: 国内を感染地域とする報告は54例であった。23都府県から報告があり、東京都(11例)、三重県(6例)、神奈川県(5例)、群馬県(4例)の順に多く、また、感染地域の都道府県としては、東京都(7例)、三重県(6例)、群馬県、埼玉県、神奈川県、愛知県、岡山県(各3例)の順であった。2009年は小規模な家族内感染事例を除き、国内での集団感染事例はなかった。 54例の性別は男性24例、女性30例で、年齢中央値は25.5歳(0〜85歳)(男性のみ21歳、女性のみ29歳)であった。年齢群別では、10歳未満20例、10代4例、20代5例、30代8例、40代1例、50代3例、60代10例、70代2例、80代1例であり、10歳未満、60代、30代の順に多かった(図2)。 発病月は、4、5、12月が各1例であった以外、毎月3〜6例の報告がされており、目立った季節性はみられなかった(図3)。 検出された菌種は、S. sonnei 31例、S. flexneri 20例、S. dysenteriae 1例、菌種不明2例であった(図4)。
国外感染例: 国外を感染地域とする報告は126例であった。感染地域別では、従来どおりアジアが102例(81.0%)と際立って多く、次いでアフリカ11例(8.7%)であった(図5)。国別では、アジア地域ではインド、インドネシア、ベトナム、カンボジア、ネパールの順に多いが、これに次いでアフリカのエジプトが多かった(表1)。報告数の多い感染地域や感染国の傾向は、従来とほぼ同様であった。 126例の性別は男性63例、女性63例で、年齢中央値は31歳(1〜78歳)(男性のみ34歳、女性のみ29歳)であった。年齢群別では、10歳未満6例、10代3例、20代49例、30代27例、40代16例、50代8例、60代14例、70代3例であり、特に20代、30代が多い傾向は従来どおりであった(図2)。 発病月は、2月と9月(各13例)、3月(12例)、5月(11例)が多く(図3)、2月の13例中6例はインドネシアバリ島旅行者での集団感染であった(http://idsc.nih.go.jp/iasr/30/358/dj3581.html)。 検出された菌種は、S. sonnei 101例、S. flexneri 23例、菌種不明2例であった(図4)。日本を含む感染国別の報告数を、菌種別に表に示した(表1)。
症状: 患者168例について、報告された症状をみた。届出票にあらかじめ記載されている症状では、下痢164例(97.6%)、発熱112例(66.7%)、腹痛98例(58.3%)、膿粘血便30例(17.9%)、しぶり腹27例(16.1%)であった(表2)。膿粘血便は、原因菌種がS. flexneri の症例(27.9%)でS. sonneiの症例(14.2%)に比して高率であり、しぶり腹もS. flexneri(27.9%)がS. sonnei(12.5%)よりも高率であった。また、その他の症状として自由記載されていたものでは、嘔気・嘔吐12例(7.1%)が多かった。 一方、無症状病原体保有者13例の菌種は、S. sonnei 12例(同菌種総数132例の9.1%)、S. flexneri 1例(同44例の2.3%)であった。
(補)細菌性赤痢のサルの報告 細菌性赤痢はサルの間にも感染がみられ、ヒトへの感染源となり得るため、2004年10月1日施行の感染症法施行令の改正により、細菌性赤痢のサルを診断した獣医師に届出が義務づけられた。2004年には報告はなく、2005年に5都道府県から45例、2006年に6都道府県から45例、2007年には3都道府県から51例、2008年には4都道府県から29例、2009年には2県から34例の報告(2010年4月5日現在)があった。報告されたサルのほとんどは輸入後の検疫(法定検疫または自主検疫)によって発見されたものでる。 (感染症発生動向調査週報 2010年第24号に掲載) |
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