国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ
被災地におけるご遺体からの感染症リスクについて
“PAHO:Management of Dead Bodies after Disasters 2006”
「汎アメリカ保健機関:災害後の死体管理(2006年)」より
(東北大学医学系研究科微生物学分野による翻訳より抜粋し一部加筆)

2011年3月18日現在
国立感染症研究所感染症情報センター

概要

◆自然災害後、ご遺体が感染症流行の原因となることはありません。

感染症とご遺体について

◆自然災害による直接の犠牲者は、怪我、溺死、火災などよって亡くなられたもので、感染症が原因になったものではありません。

◆犠牲者は亡くなられた時に流行を引き起こす感染症に罹患しているわけでもありません。

◆血液感染を起こす慢性疾患(肝炎、HIV/AIDS)結核、下痢に罹患している災害の犠牲者はごく少数です。

◆6日後の遺体解剖の後でも見つかるHIVウイルスを除くこれらの感染症の病原体は、48時間以上、ご遺体内で残存することはありません(すなわち、3月11日の大地震より1週間を過ぎた本日現在ではご遺体が有する感染症のリスクはありません)。

一般的にご遺体を扱う者のリスク

◆ご遺体を扱う者には、下記に挙げた疾病を有する犠牲者等の方からの血液や糞尿(死後に糞尿を排泄)に直接触れることはわずかですがリスクが生じます。*B・C型肝炎、*HIV感染、*結核、*下痢症(しかし、3月11日の大地震より1週間を過ぎた本日現在ではご遺体に関するこれらの感染症のリスクはなくなっています)。

◆遺体回収に当たられる方は、崩壊した建物、瓦礫などの危険な環境で働いており、外傷や土壌・瓦礫などから感染する破傷風のリスクが稀ながらあるでしょう。

ご遺体を扱う者の基本的な安全対策措置

◆基本的な衛生対策によって、ご遺体を扱う者を、わずかなリスクではありま すが、血液や遺体からの液体物によって拡大する感染症の病原体、及び腐乱によって ご遺体に増殖した細菌などへの曝露から守ることができます。

  • 水分を通さない手袋(グローブ)の着用。できれば使い捨て。また可能であればブーツの着用。
  • ご遺体を扱った後には、手袋をはずし、石鹸と水(できるだけ流水)で手を洗うこと。
  • ご遺体を扱っている時に、自分の手で(自分やほかの人の)顔や口に触れることは避けること。
  • 使用した器材、衣服、ご遺体を搬送した車両内部は洗浄すること(出来れば消毒すること)。

◆マスクは感染防止の意味からは必要ではありませんが、臭いを避けるなどの意味から使用するとよいでしょう。

◆閉鎖され、換気のない場所でのご遺体の回収は注意して下さい。ご遺体が腐乱した数日間後、危険なガスが蓄積されている可能性があります。閉鎖された場所を換気する時間が必要です。

その他参考

厚生労働省:(新型インフルエンザ)埋火葬の円滑な実施に関するガイドライン(2009年2月)

(2011年3月18日 IDSC 更新)

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