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被災地における感染性胃腸炎の予防対策について |
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2011年3月22日現在 |
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1.はじめに |
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感染性胃腸炎には細菌性とウイルス性があります。現在の季節は、ノロウイルスやロタウイルス等によるウイルス性の胃腸炎が発生しやすい状況です。 |
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2.具体的な予防対策 |
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感染経路は経口感染、糞口感染、接触感染、飛沫感染と多岐に渡ります。以下は最も感染力の強いノロウイルス等のウイルス性胃腸炎を考えての予防対策です。 A)個人で行って欲しい予防対策: 集団生活の中でヒト−ヒト間で広がっていく主な感染経路の1つに接触感染、糞口感染があります。すなわちノロウイルス等の病原微生物が付着している人の身体、衣服、あるいは物品等を触り、最終的にはウイルスを自分の手に付着させた状態で自分の鼻や口を触り、あるいは飲食物などに入り込んだウイルスが口腔内に入り、嚥下されて腸管に達することによって感染します。 接触感染対策の最大にして最後の砦(とりで)は手指衛生です。感染性胃腸炎対策としての手指衛生では流水・石鹸による手洗いが最も推奨されます。しかし、水不足でまだまだ実行できないような場所では、手洗いの代わりに速乾性刷り込み式アルコール製剤による手指衛生を行ってください。アルコールによる手指衛生は、ノロウイルス等に対しては十分ではありませんが、細菌性などノロウイルス以外の感染性胃腸炎予防には効果的ですから、アルコールをしっかりと手にとって丁寧に手指消毒を行うことは推奨されます。まだアルコール性の手指消毒剤がまだ少ないところであっても、食事の前(調理・配膳される方はもちろんその前に)、トイレの後、外から帰った後等に可能な範囲内での手指衛生を行ってください。 かつて、手指を浸けて消毒する目的で洗面器等に消毒薬を作り置きすることが医療機関等で行なわれることがありましたが、かえって手指を細菌やウイルスなどで汚染してしまう温床となりえますから避けるべきです。 ※被災地での感染対策として手指衛生はどの感染症に対しても最重要であるといっても過言ではありません。関係者の方々は被災地の衛生対策として、飲用のみならず衛生対策としての水道の復旧、および、避難所での手指衛生用のアルコール製剤の搬入と供給にご尽力いただきますようお願いします。 B)嘔吐物や下痢便の処理: 集団生活施設内で感染性胃腸炎の発病者由来の嘔吐物や下痢便が放置されていると、接触感染の原因となりますし、ノロウイルス等の病原微生物が乾燥して埃と共に舞い上がり、それを吸い込むことによって一気に感染が拡大する場合があります。嘔吐物や下痢便を発見した場合は、速やかにペーパータオルかまたは破棄してもいいタオルや雑巾等で拭き取り、拭き取ったものはビニール袋などに入れて密封した上で、できれば塩素系の消毒剤(濃度は200ppm注以上)で嘔吐物や下痢便があった箇所を広めに消毒してください。消毒は消毒剤をたっぷりと浸したペーパータオルやタオル等による拭き取り消毒を行い、使用したタオル等はビニール袋などに入れて密封し、先のビニール袋と共に破棄してください。なお、この処理を行う際には、従事する方はできる限りマスクと手袋(この手袋は清潔である必要はなく、ゴム製で破れにくい材質のものが推奨されます)を着用してください。また、処理が済むまでは他の方はその場所から2m以上離れていただくように指示をしてください。 |
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C)汚れた衣類について: |
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E)発病者に対するケアー |
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3.食事に対する注意 | |||
感染性胃腸炎の感染経路は多岐に渡りますが、原則的にはウイルスや細菌等の病原微生物が口腔内に入り、嚥下して腸管に到達して感染していきます。従ってまず食材に細菌やウイルス等の感染性胃腸炎の病原微生物が入ったままで被災者の方々の食事として供さないために、基本的には熱による調理を経たものを食事に供していただきますようにお願いします。これによって、食材からの感染性胃腸炎を防ぐことができます。その上でヒト−ヒト感染で侵入してくる感染性胃腸炎に対する注意を行っていただきますようお願いします。また、ノロウイルスを中心とする感染性胃腸炎の症状がまだある方、および回復後3日以内の方は、感染のリスクを考慮して、この間は調理に従事しないようにご注意ください(参考:米国疾病予防センター(英語)http://www.cdc.gov/ncidod/dvrd/revb/gastro/norovirus-keyfacts.htm)。 |
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4.最後に |
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感染性胃腸炎は、発病している人だけがウイルスや細菌に感染しているわけではなく、症状のない方でもこれらの病原微生物の感染を受けている場合も少なくありません。避難所等多くの人々が生活している施設内で発病者が発生した場合には、発病者だけではなく、外来者を含めて全員がしっかりとした手指衛生を行っていただくことが基本となります。そのための水、消毒剤などを早い段階から準備しておくことが重要です。 また、発病者だけがいたずらに不当な扱いを受けるようなことがないようにもご配慮いただきますようにお願いします。 |
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(2011年3月22日 IDSC 更新) |
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