国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ

夏季に向かう中での被災地・避難所における
食品媒介感染症対策強化について

2011年5月25日現在
国立感染症研究所感染症情報センター

はじめに

 震災発生から約2カ月が過ぎましたが、平成23年5月21日現在も、警察庁広報資料(http://www.npa.go.jp/archive/keibi/biki/index.htm)によると、19都道県の約2,500カ所の避難所に、10万人以上の避難者の方々が滞在されていることが知られています。避難所生活が長期化する中、梅雨や初夏の時期を迎え、腸管出血性大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌などの細菌性を含む、食中毒など食品媒介感染症の発生が懸念されます。本稿においては、食品媒介感染症発生対策の強化に向けて、避難者ご自身が取り組むべき対応、および被災地・避難所支援に当たる方々・組織が取り組むべき対応について注意点をまとめてみました。


避難者の方々自身が強化すべき対応
  1. 食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう。
  2. 避難所にて提供される食品は、消費期限内に必ず食べるようにしましょう。保存食品(缶詰、インスタント食品、レトルト食品など)以外の食品の取り置きは避けましょう。保存する場合には、表示されている保存方法を守りましょう。
  3. 外食に際しても、生肉(牛、豚、鶏)や生レバー等の喫食など、食中毒の恐れのある食事についてはお避けください(特に小児、高齢者)。
  4. ご自身やご家族に吐き気やおう吐・下痢、腹痛等の症状がある場合には、早期に治療を開始すべきこと、および集団全体での発病者のチェックや感染の拡大防止の観点から、早めに避難所の保健担当の方に相談しましょう。
  5. 吐き気やおう吐、下痢等の症状(消化器症状と呼びます)がある方は、配膳や炊き出しといった食品を取り扱う作業をしてはいけません


被災地・避難所支援に当たる方々・組織が強化すべき対応

 以下は行政的な立場から自治体において既に行われている項目が多いと思われます。夏季を迎えてより強化すべき、一般的な情報としてご参照いただければと思います。

  1. 地域の自治体・保健所等においては、避難所における食品の保管、衛生的な取扱いに関する確認を行いましょう。
  2. 地域の自治体・保健所等においては、避難所の管理者や食品の調理や管理に携わる人、ボランティア、避難者を対象に衛生教育・啓発を行いましょう。
  3. 地域の自治体・保健所等においては、避難者への弁当等を納入する業者への、食品衛生上の衛生指導および安全確認の実施や、適切な搬入方法についての協議や指導を行いましょう。
  4. ボランティアとして被災地・避難所を訪問する方は、自身の健康状態の確認を十分に行い、調子の悪い時は勇気を持って訪問や避難所での活動を中止しましょう。
  5. ボランティア等による炊き出しについては、避難所の責任者の了解を得たうえで、衛生管理責任者を決めて実施しましょう。
  6. ボランティア等による炊き出しについては、夏季を迎えて、より衛生的な食材・食品の取扱いや調理、提供が求められます。また、特に調理に従事する方の中に、胃腸炎症状のある方が含まれないように、事前の健康チェックを十分に行いましょう。


参考資料

(2011年5月25日 IDSC 更新)

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