The Topic of This Month Vol.17 No.9 (No.199)


<特集>ヘルパンギーナ 1995〜1996

 ヘルパンギーナは毎年夏季に流行する急性熱性疾患で、咽頭から軟口蓋にかけての小水疱が特徴である。患者は4歳以下の小児が大部分で1歳がもっとも多い。コクサッキーA群(CA)ウイルスが主な病原体である。本特集では患者報告については1996年の発生状況を中心に述べる。病原体報告については1995年のウイルス分離状況を中心に述べ、1996年の分離報告(速報)にも触れる。

 感染症サーベイランス情報による1996年のヘルパンギーナ患者週別報告数は1995年と同じく5月末から増加し、第28週(7月7〜13日)にピーク(一定点当たり4.65人)となった(図1)。1996年第33週(8月11〜17日)までの患者報告数は 84,912人(一定点当たり 35.20人)で、1995年の年間患者報告数79,573人(一定点当たり 32.61人)をすでに上回っている。しかし、北海道の第33週までの患者報告数(一定点当たり 17.63人)は1995年を大きく下回っている。

 1996年第26、28、30週の患者発生状況を都道府県別に図2に示す。例年同様、流行は西から東に推移している。

 次に病原微生物検出情報へのウイルス分離報告にもとづき起因病原体について述べる。1995年1月〜1996年7月にヘルパンギーナ患者から分離されたCAウイルスの週別報告数の推移を図3に示す。1995年にはCA4が最も多く分離され、次いでCA6とCA5が分離された。CA4の報告のピークは第26週(6月25日〜7月1日)であった。ウイルス分離同定には時日を要するため、1996年については現在のところ、流行が先行した西日本から検査が終了したものが報告されている。第16週(4月14〜20日)以後報告が増加しており、1995年に引き続いてCA4が主に分離されているが、CA6とCA10も少数分離されている。

 1995年のCA4の報告総数は 201(うちヘルパンギーナ患者からは 153)で、島根、神奈川、長野など22地研で分離された。また、CA6の報告総数は72(同58)で秋田、長野など14地研で分離された。CA5の報告総数は55(同39)で15地研で分離された。

 1996年に入ってから第28週までにCA4は大分46をはじめ、福岡市、島根、奈良、佐賀、岡山、大阪から計58(ヘルパンギーナ患者からは46)、CA6は島根28をはじめ、広島市、大分、岡山、奈良、京都市から計42(同16)、CA10は奈良10をはじめ、佐賀、大分、福岡市、京都市から計18(同13)の分離が報告されている(1996年8月22日現在報告数)。

 ヘルパンギーナの病因となっている主なCAウイルス血清型の消長を明らかにするため、感染症サーベイランス開始以後ヘルパンギーナ患者から分離されたCAウイルスについて集計した(表1)。1982〜1995年の14年間には、CA2、4、5、6、10の5つの型が主に分離された。CA3は1982年のみに報告数が多かった。上記14年間に最も多く報告されたのはCA4(1,712)で、次はCA10(1,218)であった。CA4とCA10の報告総数の70%、64%がヘルパンギーナ患者からの分離であった。CA10は1984年に大きく増加し、1988年以後1年おきに増加と減少を繰り返しているのに対し、CA4は毎年コンスタントに分離されている。


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