特別養護老人ホームにおけるインフルエンザ様疾患の集団発生−岡山県

1996年12月〜1997年2月に倉敷市内の特別養護老人ホームT園(総入所者数 111名)で経験したインフルエンザ様疾患の集団発生について、患者発生状況およびウイルス分離状況について報告する。

同施設での患者発生は1996年12月28日に始まり、その後1カ月間は毎週のように10名ほどの患者が見られ、1997年2月10日頃に終息し、最終的にのべ患者数は約50名に達した。患者はいずれも高熱、せき、気管支炎、食欲不振および倦怠感等のインフルエンザ様症状を示していた。流行期間を通じて1名が医療機関に入院したのみで、死亡者は見られなかった。なお、流行に先立つ12月16日〜18日に2名の死亡者があったものの、死因はいずれも心不全であり、本流行との関連は不明である。

原因ウイルス検索のため、1997年1月21日にに示す様な症状を呈する5名の患者より咽頭ぬぐい液を採取し、MDCK細胞を用いてウイルス分離を試みた。その結果、接種後約3日目に3検体が細胞変性を示し、上清のHA価を測定したところ、いずれも 128倍の値を示した。これらの株について、WHO インフルエンザ・呼吸器ウイルス協力センターより分与された抗血清を用いて型別・同定を行ったところ、3株とも今シーズンのワクチン株であるA/武漢/359/95(H3N2)に対する抗血清でのみHAが抑制されたことから、A香港型インフルエンザウイルスと同定した(別表参照)。分離株の抗原性については、ワクチン株との間にHI価で4倍の差が認められた。一方、同時期に小・中学校の集団カゼより分離された株とは、抗原性にほとんど差は認められなかった。

本事例は、県の高齢者対策課の調査により初めて確認され、所轄保健所を通しての聞き取り調査および検体採取等により、その詳細を明らかにすることができた。今後、高齢者におけるインフルエンザウイルスの流行状況についても、注意深く見守る必要があろう。

岡山県環境保健センター
葛谷光隆 濱野雅子 藤井理津志 小倉 肇
倉敷南地域保健所 綱島公子 山下由紀恵

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