ヘルパンギーナ患者からのコクサッキーウイルスA2型の分離、1997−大分県

結核・感染症サーベイランス事業患者情報によると、1997年の大分県域でのヘルパンギーナ患者は4月下旬から増加し始め、6月10日現在493名が報告されている(図1)。

ヘルパンギーナ患者からのウイルス分離・同定検査は哺乳マウスに患者検体(咽頭ぬぐい液)を接種し、麻痺の現れたマウスの筋組織からウイルス液を調製し、国立感染症研究所(旧予研)から供与されている抗体(免疫腹水)を用いて補体結合反応により行っている。本年は1月初めから6月20日までの間に、ヘルパンギーナと診断された患者のぬぐい液37検体について分離を試み、20件からコクサッキーウイルスA2型(CA2)を検出した。ウイルスの検出率は54%(20/37)であった(表1)。

哺乳マウスでの麻痺は通常検体接種後3〜5日目に見られるが、今年の検査では例年と比べ哺乳マウスの麻痺が弱い例、例えば麻痺の出現が検体接種から6日目以降と通常より遅い、あるいは接種マウス4匹中1〜2匹しか麻痺が起こらない等の傾向がみられ、ウイルスの分離された20件中12件で接種後6日目以降に麻痺が認められた。これは今回分離されたウイルスの特徴的なものと思われる。

ヘルパンギーナの流行の特徴として、主流行ウイルスが毎年推移していることが挙げられる。現在もヘルパンギーナの検査依頼が増加しており、ウイルスを検索・同定中であるが、ほとんどがCA2であり、本年はCA2がヘルパンギーナの主原因ウイルスになるものと思われ、今後も引き続き注目すべきウイルスであると考えている。

大分県衛生環境研究センター
小野哲郎 塚本伸哉 小河正雄

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