エコーウイルス9型の分離−岩手県

本年5月以来岩手県盛岡市を中心に流行している発疹を伴う上気道炎の患者からエコーウイルス9型(E9)および同16型(E16)を分離したのでその概要を報告する()。

1997年5月中旬、岩手県盛岡市の感染症サーベイランス検査定点医療機関の同一日の検体6件中5件からE9を分離した。定点担当医によると患者年齢層は3〜8歳ぐらいで、症状は全身の発疹、発熱および上気道炎である。

その後も引き続き2検体からE9を分離し、6月初旬には同検査定点の1検体からE16を分離した。

検体は咽頭ぬぐい液のみで、ウイルス分離にはRD-18S、HEp-2およびVero細胞を用いたが、RD-18S細胞が最も感受性が高かった。ウイルス同定にはRD-18S細胞を用い、以前に国立予防衛生研究所(現感染研)から分与を受けたメルニックプール血清およびデンカ生研製の単味血清で中和試験を行ったところ、E9またはE16と同定された。

検査定点医療機関では7月初旬の時点でも患者数の減少傾向が見えず、しばしば髄膜炎を併発するとのことで、今夏の大規模な流行が予想され注意が必要である。

岩手県衛生研究所
玉田清治 小林良雄 佐藤 卓

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