レジオネラ症、1996−ヨーロッパ
CDSC(PHLS Communicable Disease Surveillance Centre)によると、1996年にヨーロッパ24カ国で報告されたレジオネラ症は1,566例であった。1995年より約300例の増加で、これはスペインにおける大規模な市中感染(本月報Vol.18、No.3、8ページ参照)によるところが大きい。致死率は4.9%であった(1995年は7.7%)。罹患率は、ドイツ、クロアチア、デンマークが高く(100万人あたり30.17〜14.40人)、次いでスペイン、ギリシア、フランスが高く(100万人あたり11.03〜5.25人)、他の国は100万人あたり5人未満である。22の集団感染のうち、院内感染が2事例、市中感染が8事例、12事例は旅行に関連したものであった。集団感染の感染源は、10事例が給湯あるいは給水設備によるもの、6事例が空調設備によるもの、1事例が温泉によるものであることが判明している。旅行に関連したレジオネラ症は246例で80%はヨーロッパ内の旅行である(スペイン49例、イタリア31例、トルコ28例、フランス23例、ギリシア19例など)。観光旅行形態の変化により、ヨーロッパ外での感染(カリブ諸国、南アフリカなど)が年々増加している。
診断は18%が培養、29%が抗体価の上昇、16%が尿中抗原の検出、24%が単一血清での高い抗体価、1%が気道中の抗原の検出、0.8%がPCR による(その他および不明が11%)。起因菌はLegionella pneumophila血清群1が75%、血清群1以外のL.pneumophila が18%、それ以外のレジオネラ属菌によるものが7%である。
(WHO、WER、72、No.34、253、1997)