<通知>
食品衛生法施行規則の一部を改正する省令の施行について

衛食第155 号
平成9年5月30日

  都道府県知事
各 政令市市長  殿
  特別区区長 

厚生省生活衛生局長

食品衛生法施行規則(昭和23年7月13日厚生省令第23号)の一部が、食品衛生法施行規則の一部を改正する省令(平成9年5月30日厚生省令第49号)により、別添(略)のとおり改正されたので、下記の事項に十分留意の上、貴管下関係者に対する周知徹底をはじめ、その運用に遺憾のないようにされたい。

第1.改正の趣旨

近年の検査技術の向上、検査方法の知見の集積等に伴い、食品に起因する健康被害の中で、病原細菌は検出されないものの、電子顕微鏡等によって、小型球形ウイルス(SRSV:small round structured virus)等のウイルスが検出される事例が報告されてきた。特に、昨年末には、小型球形ウイルスが原因と疑われる食中毒事件が相次いで報告されたところである。

このため厚生省において実態調査を実施するとともに、食品衛生調査会食中毒部会において必要な対応を検討してきたが、平成9年3月18日に食品衛生調査会から厚生大臣に対して、小型球形ウイルスを食中毒事件票による報告の対象とすることによりその発生状況を把握すること等が適当である旨の意見具申がなされたことを受け、今般、食中毒事件票を改正し、病因物質の種別の欄中に小型球形ウイルスを加えたものである。

また、昨年8月に腸管出血性大腸菌感染症が伝染病予防法(明治30年法律第36号)に基づく指定伝染病に指定されたことに伴い、腸管出血性大腸菌を、病因物質の種別の欄中において、その他の病原大腸菌と分けて分類することとしたほか、近年の食中毒発生状況を踏まえ、原因施設の欄の項目の見直しを行う等の所要の改正を行った。

第2.改正の要旨

1.原因施設関係

1)小学校や保育所などの給食施設が原因施設となる食中毒が多く報告されていることから、事業場、学校および病院について、給食施設を「その他」から分離するとともに、事業場の場合は保育所、老人ホーム等に、学校の場合は幼稚園、小学校、中学校等に細分類したこと。

2)行商を原因とする食中毒は、平成2年を最後に報告されていないことから、原因施設として行商を削除したこと。

2.摂取場所関係

1)摂取場所を具体的に記載する欄を設定したこと。
2)摂取場所が、学校の教室、会杜の社員食堂、保育所の保育室、老人ホームの居室等であることが多いことから、これらの施設を「その他」から分離したこと。

3.病因物質関係

1)病因物質を具体的に記載する欄を設定したこと。
2)病因物質の種別の欄について、次の改正を行ったこと。
ア.小型球形ウイルスおよびその他のウイルスを追加したこと。
イ.病原大腸菌から腸管出血性大腸菌を分離したこと。
ウ.「その他」を追加したこと。

第3.施行期日等

1.公布の日から施行することとしたこと。

2.(略)

第4.関係通知の改正

食中毒の病因物質として小型球形ウイルス等のウイルスを追加したことに伴い、以下の通知中「細菌」の用語を、ウイルスを含む概念である「微生物」に改めることとした。(以下略)

参考:小型球形ウイルスの検査について
(1)検体採取:検体は、調査開始後、できるだけ早い時期(患者糞便については、発症後2日以内が望ましい)に、できるだけ多くの量を採取すること。採取後、検体以外のものを何も入れずに密封して4℃以下に冷蔵して搬送、保管し、検査まで時間がかかる場合は−20℃以下で凍結保存すること。

(2)検査:検査は別紙検査法(略)により実施すること。なお、検査の実施に際しては、次の1)〜4)に留意すること。

1)電子顕微鏡による検査およびPCR法による検査を実施すること。なお、電子顕微鏡による検査は、その検出感度(106 粒子/ml)を考慮し、患者糞便にのみ適用すること。
2)食品の検査において対象が二枚貝の揚合は、中腸腺を材料とすること。
3)PCR法におけるプライマーは本検査法において示したものに限らず、各実施機関で適切と考えられるものを使用しても差し支えないこと。
4)PCR法により小型球形ウイルス遺伝子の増幅がみられた場合には、サザンハイブリダイゼーションによる確認を行うこと。
なお、当該確認が実施できない場合には、国立予防衛生研究所ウイルス第二部に事前に協議の上、検査を依頼すること。

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