カキ生食に伴うウイルス性胃腸炎、1996年12月〜1997年1月−米国・ルイジアナ州

1996〜1997年冬季にルイジアナ州でカキの生食に伴うカリシウイルス(ノーウォーク様ウイルス、小型球形ウイルス、SRSV)による胃腸炎の集団発生が起こり、カキの汚染源としてカキ収獲船からの汚水が原因と考えられたので報告する。

1996年12月25日にルイジアナ州でカキの生食に伴い6人の胃腸炎の集団発生が認められた。その後3件の集団発生が報告されたため、全州に確認したところ、60件の集団発生がアラバマ、フロリダ、ジョージア、ルイジアナ、ミシシッピ州より報告された。発生日は12月21日〜1月7日にわたっており、症状としては下痢、腹痛、嘔吐、頭痛、発熱等が認められた。潜伏期の中央値は38時間、罹病期間の中央値は2日であり、原因のカキは12月15日〜1月1日に収獲されたものと推定された。ケースコントロールスタディでは、摂食者201例中発症者は153人(76%)、非摂食者は70例中13人(19%)であった(危険比 4.0)。SRSVが電顕で患者11人中8例より検出された。6件の集団発生事例からの8検体から抽出した核酸の解析により、3種類の異なった塩基配列がみつかり、3箇所の産地からのカキと一致した。SRSVはカキから検出されたが、塩基配列は解析されなかった。

当局は原因となったカキを20の生産者まで追跡した。8つの収獲船を検査したところ7つは汚水収集処理システムに不備が認められた。1月3日当局はミシシッピ川南部の汚染が疑われた地域8つの水路を閉鎖し、1月6日に12月22日以降にこれらの地域で収獲されたカキの回収を行った。1月23日収獲が再開されたが、その後はカキに伴う胃腸炎の発生はみられなかった。

(CDC、MMWR、46、No.47 、1109、1997)

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