生カキ摂食によるノーウォークウイルス胃腸炎−オーストラリア

1996年8月、南東Queenslandと北New South Wales住民の間で4週間にわたって胃腸炎の発生があった。患者97人中93人が調査質問に答え、うち92人は発症3日以内に生カキを食べていた。二次感染はなかった。生カキを摂らなかった30人の対照群で下痢を発症したのは1人であった。

糞便の電子顕微鏡検査ではウイルスは検出できなかった。RT-PCR検査で4検体中1例がノーウォークウイルス陽性であった。カキは陰性。

カキはTerranora水域で採れたものである。ここの水の大腸菌群数は4〜340/100ml(基準値は14以下)であった。この水域を通る下水管に漏れがあり、水域に面した住宅地域で家庭浄化槽が600あった。また、ここは潮流による水の動きの悪いところである。

ここから出荷されたカキは回収され、その後患者は発生していない。この事件の教訓としてわかったことは、現行の規則では消費者からカキの産地・採取時期への遡り調査が困難であることであった。また、記録方式も不適切で、様々な産地のカキを混ぜ合わせることが広く行われていた。生カキの品質保証を行う体制とカキ生産地と地方自治体/国機関との協力・連携が緊急の課題である。

(Australia CDI 21、No.21、317、1997)

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