ヒトのサル痘、1996年2月〜1997年10月−コンゴ共和国(旧ザイール)カサイオリエンタル

ヒトサル痘はサル痘ウイルス(MPV)による重症の天然痘様の疾患である。サル痘は散発的流行の形で発生しており、西部あるいは中央アフリカの熱帯雨林でリスやサルの間で感染が成立している。1996年にザイール(現在のコンゴ共和国)のカサイオリエンタル、カタココンベ地区の村からサル痘の症例の報告があり、WHOはCDCと協力で調査し、1996年2月〜1997年2月までの間に発生した92例の疑い例を確認し、急性例よりMPVを分離した。しかしながら発生例が続いたため、WHOとCDCは1997年10月から新たな調査を開始した。ここでは、過去最高規模のヒトサル痘の集団発生であることが判明した本調査の概要を述べる。

1997年10月、カサイオリエンタルのカタココンベ地区とロジャ地区で積極的患者調査が行われた。症例の定義として、サル痘のprobable caseはカサイオリエンタルの住民で、1996年2月以降に発熱と痘瘡疹類似の発疹あるいは5つ以上の顔面の疱瘡痕があったものとし、possible caseは同じく住民で発熱と水疱疹あるいは痂皮化疹の既往があったものとした。また、一次症例は他のサル痘患者に接触のなかったもの、二次症例は発症の7〜21日以内に他のサル痘の患者に接触のあったものとした。

調査の結果、419例が確認され、344例はカタココンベ地区(Attack Rate :AR人口千人当たり1.1)、75例はロジャ地区(AR 0.3)で確認された。これらのうち304例(73%)はprobable caseで、115例(27%)がpossible caseと考えられた。ほとんどの例(85%)は16歳以下に起こっており、19例は急性例であった。419例のうち94例(22%)は一次症例、残りは二次症例であった。暫定的な検査では9例でMPVが、4例で水痘ウイルスが検出された。

カタココンベ地区の344例中5例が発疹出現後3週間以内に死亡した(致命率 1.5%)。20例(6%)は種痘の痕があり、19例は水痘の既往があった。1996年2月以来合計511例のヒトサル痘患者が両地区において確認され、発症のピークは1996年の8月と1997年の8月にあった。

(CDC、MMWR、46、No.49、1168、1997)

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