温水プールに関連したA型肝炎の集団発生−オ−ストラリア
1997年10月17〜20日にメルボルン東郊外の一人の一般開業医からA型肝炎患者3例が届けられた。患者らの共通点として小学校とフットボールクラブが挙げられ、積極的なサーベイランスにより6家族の7例の患者が確認された。
患者は8〜15歳の男子で8月31日〜10月13日に発症していたが、全員8月31日にフットボールクラブで行われた催しに参加した後に一人の患者の家に行き、共通の飲食をし、温泉プールを利用していた。この際、初発患者は体調不良のため、早く帰っていた。後に彼はA型肝炎であることが血清学的に確認された。この患者とその2人の兄弟以外に27人の小児〜青年と人数不明の成人が参加しており、うち17人は8〜16歳の男子、10人は3〜17歳の女子であった。初発例を含む何人かの男子が温水プールを利用したが、女子は利用しなかった。プールの中でクジラの真似をして口に含んだ水を吹き出す遊びをしていた。飲食物を介して感染した可能性を完全に否定することはできないが、8月31日に初発例が排泄したウイルスを他の少年が経口摂取し、ちょうどA型肝炎の潜伏期に相当する3〜5週間後に発症したと推測される。
屋外の温水プールの水は過酸化水素とUVを用いるシステムで処理されていたが、A型肝炎ウイルスに対する消毒としては十分とはいえない。ビクトリア州の公立学校のプールでは、過酸化水素とUVを用いるシステムは効果が少ないとして認められていない。
(Australia CDI、21、No.23、353、1997)