未調理のハムに関連した黄色ブドウ球菌による食中毒の集団発生、1997年−米国・フロリダ州

1997年9月27日、フロリダ北東部の地域病院は、共通の食事が原因と疑われる胃腸炎によって数人を緊急処置したことをセントジョーンズ郡保健局に報告した。フロリダ保健局は、これらの患者は1997年9月26日の退職パーティーに出席し、黄色ブドウ球菌に汚染されたハムを喫食したことを明らかにした。

パーティー出席者に対するアンケート調査から、吐き気、嘔吐、筋肉痛、頭痛、発熱などの症状を訴えた18人の患者のうち、17人までがパーティーで出されたハムを喫食しており、発症とハムとの相関が強く疑われた。残ったハムから黄色ブドウ球菌の産生するエンテロトキシンを同定するためにラテックス凝集反応を試みたところ、黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンのタイプAに陽性となった。一方、患者の便や嘔吐物のサンプルは手に入れることが出来なかった。

調理者は、ハムを前日に購入、加熱調理(204度で1.5時間)した後、スライスし、クーラーに入れて6時間保存した。これを自宅に持ち帰って冷蔵庫で一晩保存し、翌日のパーティーに冷えた状態で出した。調理者はハムのスライサーは適切に洗浄されていたこと、さらに、自分の手には切り傷、腫れ物、感染性の傷などがなかったことを報告した。調理者の爪や皮膚からは菌が得られなかったことから、この集団発生における、ハムへの汚染源は特定できなかった。

ハムは黄色ブドウ球菌の食中毒を引き起こす媒介食品としてこれまでに最も一般的に報告されており、食中毒の発生を防ぐためには、適切な調理方法が必要とされている。

(CDC、MMWR、46、No.50、1189、1997)

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