PCRによるHIV-1サブタイプ(BとE)の鑑別
HIV-1のサブタイプにはA、B、C、D、E、F、G、H、I、Oの10種類が知られているが、日本でみられるサブタイプは、そのほとんどがサブタイプBとEである。厳密なサブタイプ同定には、env遺伝子の塩基配列決定が必要であるが、我々はPCRを利用して簡便にサブタイプBとEとを鑑別する方法を開発した。
この方法により、日本のHIV抗体陽性者のHIV-1サブタイプを調べた結果、血液製剤による感染者はすべてサブタイプBであり、日本にいるタイ女性のHIV抗体陽性者では23例全例がサブタイプEであった。
一方、異性間感染による日本人男性HIV抗体陽性者では、1993年以前のHIV抗体陽性例では8例中7例がサブタイプBであり、サブタイプEが1例のみなのに対し、1994年以降のHIV抗体陽性例では、11例中10例がサブタイプEでサブタイプBは1例のみであった。日本における異性間のHIV 感染が1994年を境にサブタイプEに代わりつつあることが分かった。(感染症学雑誌 71(9):918-923、1997からの抄訳)
神奈川県衛生研究所ウイルス部
今井光信 近藤真規子 須藤弘二他