インフルエンザ様疾患と診断され脳炎・脳症を呈した患者からのインフルエンザウイルスの検出−大阪市
1993年2月〜1998年2月までに、大阪市内のサーベイランス定点病院で、インフルエンザと診断され、脳炎・脳症を呈した11名の患者についてウイルスの検出を試みた。1992/93シーズンが1件、以下1994/95が1件、1995/96が1件、1996/97が5件および1997/98が3件で、患者の発生件数は、最近増加する傾向にある。検出されたインフルエンザウイルスは、A(H1) 型ウイルスが1株、A(H3) 型が4株(PCR 法による遺伝子検出を含む)、B型が1株の計6株で、特にA(H3)型ウイルスが脳炎・脳症の患者から最も多く検出された。患者FKからはA(H3) 型ウイルスが検出され、現在でも重度の後遺症が残っている。また、患者KS(男)の髄液から、PCR 法によりA(H3) 型ウイルスの遺伝子が検出され、脳炎・脳症を引き起こした可能性を強く示唆した。その後のKSの予後は良好であった。一方、11名の患者の中で5名が死亡しており、これらの中で2名からA(H3) 型ウイルスが検出され、脳炎・脳症との関連性が疑われた(表)。
今シーズン(1997/98)に脳症で死亡した患者NHの主な経過と臨床データは下記の通りである。
患者:3歳3カ月、男児
1998年1月29日:診療所受診、40℃、
ジクロフェナクロナトリウム(ボルタレン坐薬)
12.5mgの2/3 個使用
30日:ジクロフェナクロナトリウム使用。
15時から全身強直性痙攣後昏睡状態、四肢脱力、
あえぎ呼吸、水様下痢がみられた。
入院時頭部CTは全体的に軽度脳浮腫。
呼吸管理を行った
31日:死亡。頭部CTで著しい脳浮腫がみられた
なお、NHの両親からも1月30日採取うがい液からA(H3)型ウイルスが検出され、他の4名の子供のうち3名が同時期に発熱した。
大阪市立環境科学研究所
村上 司 久保英幸 春木孝祐
大阪府済生会泉尾病院小児科
蓮井正史 小野 厚
大阪市立総合医療センター小児科 塩見正司