世界のHIV/AIDS流行の現状−WHO
UNAIDSとWHOは、1997年末時点の世界のHIV感染者(AIDS患者を含む)が3,060万人であり、うち580万人が1997年の新規感染者で59万人は子どもであると推計した。この数値は、毎日新たに約1万6千人が感染しているに相当する。また、大流行以来の累積AIDS患者数は 1,290万人、このうち既にAIDSで死亡した者が 1,170万人と推計している。これまでのAIDSによる死亡者の約5分の1は1997年に死亡してしている。AIDS患者の46%は女性であり、46万人は子どもであった。西暦2000年にはHIV 感染者数が4千万人を上回ると予測されている。
地域別に見ると、生存HIV感染者(AIDS患者を含む)の約3分の2が存在するサハラ以南のアフリカでは、15〜49歳の平均 7.4%が感染していると推計されている。主たる感染経路は異性間の性的接触で、概して西アフリカよりも南および東アフリカでの感染が多い。アジアは、人口に占める感染者の割合は低いものの感染者の実数は多い。同じアジアでも国または地域により感染率や感染経路が異なっている。南米では、ほとんどが同性間性的接触と静脈薬物濫用による感染であるが、異性間の性的接触による感染が増加している国がある。東欧諸国では、主として静脈薬物濫用による感染が急増しているが、STDの増加も著しいことから性的接触によるHIV感染増が憂慮されている。先進国では、抗ウイルス剤の使用を反映して母子感染およびAIDS患者数が著しく減少した。
(WHO、 WER、 72、 No.48、 359、 1997)