HIV感染−シンガポール

1985年からの国家AIDS対策プログラムは以下の通りである。1)公衆およびハイリスクグループを対象にした教育、2)立法、3)血液および血液製剤からの感染を防ぐためのスクリーニングの恒常化、4)感染者の管理、5)感染の危険性のある人へのカウンセリング、6)AIDSの状況調査、7)医療従事者のトレ−ニング、8)調査、研究の指導。

シンガポールのHIV/AIDSの状況:1997年10月31日現在、 HIV感染者は694人報告された。このうち338人が無症候キャリア、 121人がAIDS、 235人が死亡である。1985年5月に最初のHIV感染者が出てから1985年は2人、1996年は139人、1997年は最初の10カ月で136人に達し、その数は増加している。

HIV感染の伝播様式:主たるものは性行為伝播で全体の96%を占める。この他、静脈注射による薬物使用(2.3%)、海外からの腎臓移植(0.7%)、母子感染(0.6%)、輸血(0.4%)である。1991年以降シンガポールでは異性間伝播がHIVの主たる伝播様式である。1996年はHIV感染の74%以上が異性間である。これら患者の多くは自国と外国の売春者や、ゆきあたりばったりの性行為で感染している。

HIV感染の背景:性別は男性が630人(91%)、女性64人(9%)で性比は10:1である。HIV感染者の70%が診断された時点で20〜39歳であった。人種別にみると中国人(83%)、マレー人(8%)、インド人(6%)、その他(3%)の順である。男性の70%は独身、女性の69%が既婚者である。

保健省は次のことを強調している:AIDSにならないための唯一の方法は性的対象は配偶者に限り、場当たり的行為や売春者との性行為を避けることである。HIV感染者は、感染初期には健常人と変わりないので外見で見分けることが不可能である。AIDSウイルスに感染した危険性のある人は献血するべきでない。感染の危険性のある人は、医者の血液検査を受けることを勧める。血液検査を受けた人および検査で陽性と判明した人の秘密を厳守する。

(Singapore ENB、 23、 No.12、 67、 1997)

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