<速報> インフルエンザウイルスA(H1N1)型の分離−群馬県

1997/98シーズンの群馬県でのインフルエンザ様疾患患者は第3週より急激に増加し第6週にピークを迎え、その後患者数は漸減している。本県での本疾患の流行は過去5シーズンで最大規模になる可能性もある。検査定点に受診した患者からの分離株は、ほとんどがA(H3N2)型であったが、A(H1N1)型も1名の患者から分離された。以下、概要を報告する。

患者は10歳女児、発症日は1998年1月16日で、主症状は発熱(38℃)、咽頭痛、鼻汁過多であった。翌日、臨床症状(発熱39.5℃)が強くなり小児科医院(定点)を受診した。受診時の臨床所見は、咽頭発赤を伴う上気道炎が主体でインフルエンザ様疾患と診断された。対症療法(抗生物質、解熱剤の投与)を行った結果、1月19日に症状は緩和した。1月17日に採取した咽頭ぬぐい液からMDCK細胞によってウイルスが分離された。型・亜型の同定は日本インフルエンザセンターから分与されたフェレット抗血清によるHI法(0.5%モルモット赤血球を使用)で行った。分離株を抗原としたA/北京/262/95(H1N1)フェレット抗血清のHI価は1:80であった。現在のところ、本県でのA(H1N1)型の分離はこの症例のみである。

群馬県衛生環境研究所
木村博一 大淵正枝 中村雄策 赤見正行 小林洋平 大月邦夫
疋田小児科医院   疋田博之
群馬県桐生地域保健所  渡辺節子 羽生育雄

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp

ホームへ戻る