急性灰白髄炎(poliomyelitis)診断の手引き
特徴的症状:発熱・頭痛・項部硬直・脊痛・悪心嘔吐・筋圧痛・弛緩性麻痺
病型分類:1)不顕性感染 2)不全型感染 3)非麻痺型感染 4)麻痺型感染
*1)〜3)の臨床診断は困難である。
病期分類:1)潜伏期 2)前駆期 3)前麻痺期 4)麻痺期
*1)潜伏期は無症状
2)前駆期は非特異的症状であり、臨床診断は困難である。
3)前麻痺期は、前駆期の発熱がいったん解熱、再び発熱し髄膜刺激症状を示すことがある(項部硬直・ケルニッヒ徴候・背部筋の緊張と疼痛)。
4)麻痺期は、前麻痺期の解熱頃に突然現れる随意筋の弛緩性麻庫
麻痺型分類:1)脊髄型 2)Landry麻痺型 3)球・橋型 4)髄膜・脳炎型
*1)脊髄型は最も一般的な型であり、麻痺型の80%以上は脊髄型、また、その多くは非対称性、筋は弛緩、罹患部位の腱反射は消失する。
2)Landry麻痺は、左右対称性、上行性に進行、球麻痺をおこしやすく、Guillain-Barre症候群と区別が困難である。
3)球・橋型は、延髄・橋運動核の麻痺を起こす。
4)髄膜・脳炎型
鑑別診断:随意筋の急性緩性麻痺をきたす疾患については、病原検索が必要である。Guillain-Barre症候群との鑑別がしばしば困難であり、また重要となる。Guillain-Barre症候群の多くは、中枢神経症状がなく、対称性麻痺でしばしば感覚障害を伴うことが多い。
また、横断性脊髄炎を含む急性非ポリオ性脊髄炎は、時にポリオと極めて鑑別が難しい、下位運動障害による非対称性麻痺をきたす。
(参考)鑑別診断リスト
・Guillain-Barre 症候群(急性軸索型を含む)
・急性ウイルス性筋炎
・急性脳脊髄炎
・急性関節炎
・急性非ポリオ性脊髄炎(横断性脊髄炎)
・急性小児麻痺
・注射麻痺
・けいれん後麻痺(Todd麻痺)