インフルエンザの流行と脳炎・脳症等患者からのウイルス分離状況−新潟県
1.1997/98シーズンの流行とウイルス分離状況
1997/98シーズンにおける新潟県のインフルエンザ流行は、1998年に入り患者が急増し始め、患者発生ピークは2月上旬であった。これは、例年のピークより半月ほど遅れていた。全体的には中規模の流行であった。
インフルエンザウイルスは第1週からA(H3)型が分離され第14週まで続き、539株(うちPCR法により同定・型別したもの30株)が分離された。B型は第6週〜第14週まで8株(同4株)が分離され、これらのうち7株(同3株)は同一検体からA(H3)型も分離され、A(H3)型との混合感染が示唆された。
また、分離された株のうち31株は、市販の同定用抗血清では凝集抑制が確認できず、同定・型別不能となった。これらについてはMDCK細胞培養上清からPCR法を用いて遺伝子検出を行った。その結果、A(H3)型27株、B型1株、A(H3)型とB型が同時に検出されたものが3株であった。
2.重症例からのウイルス分離
1997/98シーズンにおいて、新潟県内の医療機関でインフルエンザ様疾患と診断され、脳炎・脳症等を呈した15人の患者についてウイルスの検出を試みた。咽頭ぬぐい液から9例(PCR法による遺伝子検出を含む)、髄液から5例検出され、いずれも A(H3)型であった(表1)。
新潟県保健環境科学研究所
新井礼子 青木順子 西川 眞 篠川 旦
新潟県六日町保健所 小暮尚美