ジフテリア菌の実験室内感染−英国
1997年11月、検査室技師が毒素産生性Corynebacterium diphtheriaeの取扱いによって感染を受けた事例が明らかとなった。検査室は、ロシアから戻り激しい咽頭痛を訴えたことが明らかにされた患者からの検体を受け付け、かぜ気味であった検査技師がこれを開放型ベンチで取り扱った。7日後技師は激しい咽頭痛を訴え、咽頭から毒素産生性C.diphtheriaeが分離されたため2週間のペニシリン治療を受けた。技師の血清中には、0.1IU/mlのジフテリア抗毒素抗体の存在が確認された。
その技師と密な接触のあった人々および同検査室内の人々について咽頭培養を行ったところ、すべて陰性であったが、検査室内のスタッフについてはジフテリアトキソイドの追加接種が行われた。分子生物学的解析では、患者分離菌と技師からの分離菌は同一のものと考えられる結果であった。
ジフテリアの暴露を受けるような作業に従事する人々に対しては、ワクチン接種が十分に行われることが奨められる。Public Health Laboratory Service(PHLS)は、Neisseria meningitidisおよびC.diphtheriaeの疑いのある検体を取り扱う際には、セーフティーキャビネットを使用すべきであることを奨めている。
(CDSC、 CDR、8、 No.7、 57、 1998)