エンテロウイルス71型による手足口病で7人の幼児死亡−台湾
台湾でここ1カ月ほど流行している手足口病およびヘルパンギーナは、従来のものとかなり様相が異なっており、当院でのかなりの症例が無菌性髄膜炎、脳炎、小児麻痺様の症状を呈した。7例の小児が、発症2〜4日後に突然活動が低下し、呼吸不全となった。気管内に多量の赤色の泡沫を認め、胸部X線ではわずか数時間のうちに正常または軽度の肺炎から肺一面が真っ白になり、肺水腫の状態に陥った。心拡大はみられなかったが、発病後12時間以内に死亡した。
死亡患者のうち1人は生後4カ月、他の6人は1〜2歳の幼児で、兄弟姉妹が手足口病にかかっている例もあった。7人のうち6人にウイルス培養を行い、現在3例からエンテロウイルスを検出、うち1例についてはエンテロウイルス71型(EV71)と同定されている。患者の兄弟姉妹について行ったウイルス培養でも2例からEV71が検出された。また当院ではこの月、47株のウイルスを培養し、20株について同定を終了したが、半数以上がEV71、2株がコクサッキーウイルスB5型であった(当院では間接蛍光抗体法を使用したが、より正確には中和試験による確認が必要)。
台湾では1981年にEV71が流行したが、その後流行はなく、今年になって再び増加している。
(台湾DISC、4、No.22、 409、1998)