<速報> ヘルパンギーナ患者からのコクサッキーウイルスA10型の検出−京都市

京都市感染症発生動向調査の患者情報によると、1998年のヘルパンギーナ患者の週別報告数は1997年と同じ5月末から増加し始めたが、第27週(7月5日〜12日)には一定点当たり4.24人となり、昨年の2.34人を大きく上回っている。

当所では市内3カ所の検査定点で採取された検体を、4種類の培養細胞(FL、RD-18S、Vero、MDCK)および、哺乳マウスに接種し、ウイルス分離を行っている。

その結果、コクサッキーA(CA)群ウイルスが、主として哺乳マウスで分離され、RD-18SにCPEが現れる場合もその約半数でみられた。

麻痺を発症した哺乳マウスのトルソーをPBSで20%乳剤とし、凍結・融解後、遠心分離した上清に等量の25%カオリン液を加え、20分放置後、再度遠心分離した。この上清を検液とし、国立感染症研究所より分与された免疫腹水を用い、補体結合試験によりCAの型別を行った。

1998年1月〜7月にヘルパンギーナ患者11人から13検体(糞便1、咽頭ぬぐい液11、尿1)を受け付け、そのうち6月以降の6人からCA10 8株(糞便1、咽頭ぬぐい液6、尿1)を検出した。このうち1人からCB2 1株を重複検出した。他にアデノ1型1株、アデノ5型1株を各1人から分離した。

1997年はヘルパンギーナ患者からCA4、CA5、CA10と複数の型が分離され、全国同様CA4が主流であった。しかし、1998年は第27週まではヘルパンギーナの主要な検出病原体はCA10であり、京都市ではこの型による小流行が起こっていると思われるので今後の動向に注目していきたい。

京都市衛生公害研究所微生物部門 唐牛良明 梅垣康弘 宇野典子

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

iasr-proc@nih.go.jp

ホームへ戻る