アフリカ旅行者にみられたジフテリア−英国
タンザニアおよびその他のアフリカ諸国に数カ月滞在し英国に帰国した19歳男性の、脚部の小さいが深い創部から毒素産性型のCorynebacterium diphtheriae var mitisが分離された。全身状態は良好である。患者は、タンザニア旅行前にジフテリアの追加免疫を受けている。
患者はerythromycinで治療を受け、患者に接触のあった者のうちジフテリアワクチンの追加接種から1年以上たっている者についてはワクチンの再追加を、ワクチン接種歴のない者についてはerythromycinの投与およびワクチンの初回接種が開始された。また、Index caseであるアフリカ旅行者の無症状接触者2名の鼻咽腔からも、C.diphtheriae var mitisが分離された。これら3株の分子解析は同一の型であることを示した。
イングランドとウエールズでは、1993〜1997年に12例の輸入毒素型ジフテリア感染症が報告されており、うち6例が皮膚ジフテリアであった。皮膚ジフテリアは、熱帯地域ではジフテリアの多数を占める。咽頭ジフテリアに比較して毒素による症状を現すことは少ないが、接触者の咽頭に容易に感染をするので、接触者には予防的措置をすべきである。
(CDSC、CDR、8、No.33、289、1998)