周産期B群レンサ球菌感染症予防の病院における実施状況、1997−米国
B群レンサ球菌(GBS)感染症は新生児に疾患を起こし、また死亡を来す主要な細菌感染症である。1993年のGBSによる敗血症の治療費は年額2億 9,400万ドルと推定されている。1994年のGBS感染症の予防に関する調査では、出産前にスクリーニングを行っている施設では、新生児GBS感染症の発生が少ないことが判明している。1996年CDCは予防対策を促進するために、米国産婦人科学会と小児科学会と協力してガイドラインを発表した。これは、抗生剤の予防投与を受けるべき妊婦を特定するために、スクリーニングによるものか、危険因子によるものかいずれかの方法をとることを勧告している。このガイドラインの実施状況を把握するために、1997年に8つの地域で調査を行い、1994年の調査と比較検討した。
1997年では189施設中177(94%)で調査完了した。103施設(58%)では一般的な予防対策をとっており、82(46%)で記述された予防対策指針をもっていた。抗生剤予防投与の適応を決めるのに、50施設(28%)ではスクリーニングによる方法をとっており、36(20%)で危険因子による方法を、7(4%)で両方の方法をとっていた。1994年と比較すると1997年の方が産科的新生児GBS感染症予防対策をもち、推奨されている適切なGBS分離方法をとっている施設が多かった。1994年では対策方法をもっている施設のうち、記述された対策指針は34%であったのに対して、1997年では80%の対策方法が記述された対策指針であった。1996年の7つの地域でのサーベイランスでは、新生児早発型GBS感染症の罹患率は1,000出生当たり0.6〜1.8例であったが、GBS感染症予防対策を行っている施設の比率が高い地域では、早発型 GBS感染症の罹患率は有意に低かった(R2=0.62、p=0.03)。
(CDC、MMWR、47、No.32、665、1998)