インフルエンザ−最近の流行状況
1998年3月〜9月にかけて、アフリカ、南北アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニアからインフルエンザの報告があった。ヨーロッパでは、3月になっても流行が続いた国々があり、南半球では幅広い流行があった。また、北アメリカでは最近、特にアラスカ・ユーコンで季節はずれの感染が報告された。
A型の大部分をH3N2型が占め、その多くがA/シドニー/5/97様ウイルスで、抗原性の異なる新しい変異株は見られなかった。
A(H1N1)型も多くの国から報告され、そのほとんどがA/バイエルン/7/95様であったが、A/北京/262/95様のウイルスもアジアとヨーロッパの散発的な流行で分離された。A/北京/262/95を含むワクチンは、A/バイエルン/7/95様ウイルスとA/北京/262/95様ウイルスに対するHI抗体を同程度に誘導した。
B型は散発的な流行にとどまり、多くは報告されなかった。アフリカ、南北アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアで分離されたB型ウイルスは、すべてB/北京/184/93に近かった。一方、B/北京/243/97は、以前に引き続きアジアに限局していた。A(H5N1)型のヒト感染事例は、1997年12月以来報告されていない。
WHOでは、北半球向けのワクチン株の推奨に加え、今後南半球の冬(5月〜10月)のため前年9月にワクチン株の推奨を行うこととした。1999年の南半球冬季のワクチンとしては、北半球のワクチン株と同じくA/シドニー/5/97(H3N2)様株、A/北京/262/95(H1N1)様株、B/北京/184/93様株(最もワクチン株として広く使われているのはB/ハルビン/7/94)を含むことが勧められている。
(WHO、WER、73、No.40、305、1998)