7〜8月に検出されたA群ロタウイルス−大阪市
1998年7〜8月に大阪市内の一定点より搬入された胃腸炎患者便材料20検体中15検体よりA群ロタウイルスが検出された。患者は成人1人を除き、すべて2歳未満であり、下痢・嘔吐・発熱が主症状であった。また、患者の居住地は大阪市を含む5市にまたがっていた。患者はいずれも入院以前に下痢等の症状を呈しており院内感染の可能性は低いと考えられた。
大阪市内では例年通り定点からの患者報告数および胃腸炎患者材料の搬入数が下降し、5月末以降A群ロタウイルスは検出されず、A群ロタウイルスの流行は終息したものと考えられていた。しかしながら、7月中旬に白色水様便を呈する患者材料からA群ロタウイルスを検出したことから、夏期のA群ロタウイルスの流行に注目し、夏期の胃腸炎患者材料よりA群ロタウイルスを高率に検出することができた。
A群ロタウイルスによる乳児嘔吐下痢症は通常冬期に発生するものと考えられているが、国内においても夏期のA群ロタウイルスの流行が報告されており、乳児嘔吐下痢症を疑われる患者材料については、通年A群ロタウイルス抗原検索が必要と考えられた。
大阪市立環境科学研究所 勢戸祥介 入谷展弘 春木孝佑
中野こども病院 海老名亮二