ブラジルの黄熱
1998年ブラジルでは、10月21日までに32人の黄熱患者報告があり、うち13人が死亡した。患者のうち23人が男性、9人が女性であり、20〜30歳および31歳以上の年齢層がそれぞれ35%を占めた。22人は黄熱ワクチン接種歴がなく、2人は接種歴あり、8人は接種歴不明であった。
最近報告された患者の少なくとも2例は、ロライマ州の州都で発生している。媒介蚊が存在する都市部にも黄熱が発生するようになってきたことから、ロライマ州ではただちに全住民26万人に対する黄熱の予防接種を開始した。1996年よりブラジルでは、黄熱が存在する地域の子どもの定期予防接種に黄熱ワクチンを加えており、1999年には黄熱が存在する地域と媒介蚊が存在する隣接地域の住民併せて1億1千万人を対象にワクチン接種を行う計画である。また、ガイアナではこの数年来黄熱の発生はないが、ブラジルと国境を接する3地域において黄熱の予防接種を強化することとした。1996年には、スイスと米国における黄熱輸入例が報告されているが、いずれも黄熱予防接種歴のないブラジルへの旅行者であった。
(WHO、WER、73、No.45、351&No.46、359、1998)