血液凝固因子(血液製剤)治療によるHIV感染−英国

英国血友病センター長会(UK Haemophilia Centre Directors' Organisation:UKHCDO)により、血友病患者のHIV感染の状況が調査され、報告がなされた。

1998年8月末までに英国で血液製剤治療によりHIV感染を受けた者は1,346名で、そのうち1,325名(男性1,318名、女性7名)は血液凝固異常症の被治療者(多くは血友病A、B)としてUKHCDOを通じて登録された。その他に4,024名がHIV検査陰性として登録された。1,346名のうち801名(60%)が死亡している。

感染者の多くは10年以上前に診断されているが、一部はHIV感染症状が出現するまで診断がなされていない。1985年に実施が完了した加熱製剤の導入以降、英国においては血液製剤由来のHIV感染の報告はない。

血液製剤由来感染者とその他による感染者の年齢を比較すると、前者の39%は20歳以下である一方、後者は1%にすぎない。最初に診断がなされた時に50歳以上であった者の95%が死亡しているのに対して、10歳以前に感染が診断された者の中での死亡は32%である。死亡者801名のうち222名(28%)はAIDSの発症はなかった。これは、全HIV感染者の中での非AIDS死亡5%より明らかに高い。

スコットランドでの血液製剤由来感染者数が他の英国内の地域より比較的低いのは、スコットランドでは1980年代早期より地域での献血により凝固因子製剤が製造されていたためであり、他の地域では売血により生産された外国産の使用比率が高かった。

(CDSC、CDR、8、No.39、351、1998)

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