世界の麻疹の状況

1997年に報告された麻疹患者数は70万2,298人であり、1990年と比較して48%減少した。最も患者数が多いのはアフリカ地域(人口10万対47.5)で、最も少ないのはアメリカ地域(人口10万対6.5)である。しかし同年アメリカ地域では、ブラジルサンパウロ州の麻疹集団発生とその周辺地域、周辺国への波及により、前年に報告された2,109人の25倍にのぼる51,915人の患者数を記録した。

麻疹患者数および死亡数は、必ずしも報告対象となっていない場合があり、報告数と実数には明らかな差が存在する。WHOの推計によれば、1997年の患者数は約3,100万人、麻疹による死亡数は96万479人であった。死亡例の99%は途上国である。

WHOは、1989年の総会で1995年までに麻疹の発生をワクチン導入以前の90%減、死亡をワクチン導入以前の95%減とする目標を掲げたが、1997年末時点で患者発生は74%、死亡は85%の減にとどまっている。1995年までの上記目標に達したのはアメリカ地域と西太平洋地域のみで、ヨーロッパ地域は死亡減少のみ目標レベルに達している。

麻疹の定期予防接種率は、1990年以降世界全体でおよそ80%のまま推移している。1997年における世界平均のワクチン接種率は82%であり、アメリカ地域びおよ西太平洋地域ではいずれも93%であったが、アフリカ地域では57%であった。麻疹集団発生阻止と麻疹制圧のため、定期予防接種以外にも補完的な接種を追加実施する国がアメリカ、ヨーロッパ地域をはじめさまざまな地域で増加している。
(WHO、WER、73、No.50、389、1998)

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