エコーウイルス18型の分離−福島県
福島県内において1998(平成10)年3月2日に、急性扁桃炎と診断された2歳の女児の咽頭ぬぐい液から、エコーウイルス18型(E18)が分離された。この患者の主症状は発熱39.1℃、食欲不振、咽頭発赤等であった。
ウイルス分離にはRD-18S、HEp-2、Vero、HMV-IIの4種類の細胞を用い2代まで継代培養を実施した。ウイルスの感受性が最も良かったのはRD-18S細胞で、一部Vero細胞、HEp-2細胞でも弱いCPEを示すものも見られた。同定には、デンカ生研のエンテロウイルス混合抗血清、単味抗血清エコーウイルス18型を使用した。
1998年1〜12月の期間、県内11定点より計2,038症例から採取された検体2,555件についてウイルス検索を行なった結果、89症例から110株のE18が分離された。5月に8症例から10株、6月に33症例41株、7月に26症例32株が分離された。分離総数89例中67例(75%)が春〜夏の3カ月に集中して分離された。
地域分布については、県中地区(福島県中央部)において49症例(55%)と半数を超えた。
男性57症例(64%)、女性32症例(36%)と男性から多く分離された。2歳未満34症例(38%)、5歳までに72症例(81%)分離された。
臨床診断名と主な臨床症状をみると、診断名においては髄膜炎・髄膜炎の疑い24症例(27%)と3分の1弱を占めた。主な臨床症状としては消化器症状(下痢、腹痛など)31症例、発疹症状30症例、眼症状(結膜充血、眼脂など)10症例であった。
E18は、山形県、東京都、大阪府、宮崎県等でも分離されている。
福島県衛生公害研究所
土屋ミサ子 菅野正彦 三川正秀 平沢恭子 鈴木サヨ子 氏家悦男 加藤一夫