生カキおよびハマグリによる腸炎ビブリオ食中毒の集団発生、1998年−米国・コネチカット、ニュージャージー、ニューヨーク州

1998年の7〜9月にLong Island Soundで採取された生カキおよびハマグリによる腸炎ビブリオ食中毒が米国コネチカット、ニュージャージー、ニューヨークの3州の住民の間で集団発生した。この報告は、ニューヨークの海域で採取した魚介類では最初の腸炎ビブリオ集団発生である。

1998年8月10日、海外渡航歴のないニューヨーク市在住の1人にコレラが発生し、衛生局の調査から、その後のコレラの患者の報告は無かったが、コネチカット、ニュージャージー、ニューヨーク3州の住民に23名の腸炎ビブリオ患者が培養検査で確認された。患者の発症日は7月21日〜9月17日の間であった。

ニューヨーク州衛生局の調査から、患者23名中22名がカキ、ハマグリあるいは甲殻類を摂食または取り扱っていた。摂食から発症までの潜伏期間は平均19時間で、情報の得られた19名中17名(89%)に胃腸炎、2名に下肢の浮腫および水疱を伴う菌血症が認められた。胃腸炎の主症状は下痢(100%)、腹痛(94%)、嘔吐(82%)、発熱(47%)、血便(29%)で、有病期間は平均5日であった。

感染源調査では、患者16名中11名の摂食したカキまたはハマグリの採取場所が特定され、8名はニューヨークLong Island Sound沖のOyster Bayで8月4〜27日に採取されたもの、他の3名はそれ以外の場所のものを摂食していた。Oyster Bay海域の今夏の水温は25.1℃であり、1996年(20.7℃)、1997年(23.4℃)と比べかなり高温であった。9月10日ニューヨーク州環境保全局はOyster Bayを閉鎖、また8月10日以降同海域で採取された魚介類の回収措置を行った。

患者12名から分離された腸炎ビブリオの血清型はすべてO3:K6であり、Oyster Bay関連患者3名の菌株のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)型は同一であった。その後、9月11日〜10月14日に5回採取されたOyster Bayのカキの菌検索では、カキの中に 120≧CFU/gの腸炎ビブリオが検出されたが、いずれも集団事例発生株とはPFGE型が異なっていた。これらのことや水温も17.5℃まで下がったことから、10月22日、Oyster Bayでの魚介類の商業捕獲が再開された。それ以降の新しい患者の発生はない。

(CDC、MMWR、48、No.3、48、1999)

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