デングサーベイランス、1998年−シンガポール
患者サーベイランス:1998年のシンガポールにおけるデング熱患者は合計5,183人でデング出血熱は75人であった。うち153人は輸入例である。死亡はデングショック症候群の2カ月児が1人であった。発生率は25〜34歳が最も高い。男女比は男性1.8:女性1.0である。主要3人種における発生率を比較すると中国人が最も高く(人口10万対141.5)、次にインド人(107.2)、マレー人(65.6)である。デング熱は年間を通して発生しているが、季節性をみると患者の多くは6〜9月(49%)に報告された。患者は主として南東部(37%)、北東部(25%)、南部(18%)に集中していた。臨床診断された患者の94%が血清学的およびウイルス分離により確認された。急性期血清266検体から分離されたデングウイルス34株ではDEN-1が12(35%)、DEN-2が19(56%)、DEN-3が3(8.8%)であり、DEN-4は分離されなかった。
蚊のサーベイランス:蚊の繁殖状況を見るために検査した家屋721,787のうち4,141(0.57%)にネッタイシマカの繁殖が認められた。一方、4,824(0.68%)にヒトスジシマカの繁殖が認められた。繁殖の場所はすてられた容器(36%)、バケツ・缶など(13%)、植木鉢・雨どいなど(8.3%)、布/プラスチック製シート(4.9%)、地面のくぼみや水たまり(4.3%)であった。調査した家屋のタイプでは住居、建築現場、工場が蚊の繁殖に最適な場所であった。デング熱の発生率は蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)の発生と相互関係にあった。
(Singapore ENB、 25、 No.1、 1、 1999)