アデノウイルスによる急性呼吸器疾患、一般人での流行、1997年−米国・サウスダコタ州

アデノウイルス感染は主として子どもに特有なもので咽頭結膜熱、角結膜炎、胃腸炎を引き起こす。軍事訓練生の間では急性呼吸器疾患(ARD)を起こすが一般人では稀とされていた。

1997年3月にサウスダコタの職業訓練所の生徒の間でアデノウイルス(Ad)11型によるARDの流行が見られた。この施設は16〜21歳の240人が在籍しており、高校教育と職業訓練が行われている。生徒全員が4つ(男性用3、女性用1)の宿舎で居住しており、1棟当たり60人が1部屋を6〜10人で使用し寝棚式ベットに寝ている。食事は共通の食堂で取っている。日頃の健康管理は看護婦が行い、重症の場合は地域病院か医師の診察を受けている。

3月8日〜28日までに合計146人(61%)の生徒がARDと診断された。103人(71%)が上気道炎、43人(29%)が下気道炎であった。発病率は女性より男性が高かった。上気道炎と下気道炎の生徒は年齢、性別に差はなかった。上気道炎の生徒には頭痛、下気道炎の生徒では高熱が多かった。下気道炎の43人中5人(12%)は3〜7日間の入院を要した。この期間に寮のスタッフも上気道炎に罹患した。病気の生徒7人から咽頭ぬぐい液が採取され、RMKとA549細胞を用いてウイルス分離を行い6検体からAd11が分離された。ファイバージーン1kbの遺伝子配列は各株同一で流行株は1つであることを示した。

アメリカ軍隊でのアデノウイルス関連のARDは4型と7型による。しかし今回は若い職業訓練生の集団の中で11型の集団発生が起きた。一般に11型は出血性膀胱炎、急性出血性結膜炎を起こす血清型である。1970年代に軍用のAd4、7型ワクチン接種が開始され効果があったが、ワクチン生産は中止されている。アデノウイルスによるARDは密集した環境で生活している青年の間で起こることを今回は強調した。

(CDC、MMWR、47、No.27、567、1998)

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