集団かぜからのインフルエンザウイルスB型の分離−石川県
1999年2月1日、石川県内の2つの小学校で学級閉鎖などを伴う集団かぜの発生があった。このうち第1の事例は小松市の小学校で、患者数は全校生徒230人のうち2年生の1クラス33人を中心に1〜6年生の計72人であった。
患者の主訴症状は39〜40℃の発熱、咳、頭痛であった。患者のうち2年生の5人について咽頭ぬぐい液を採取し、MDCK細胞を用いてウイルス分離検査を実施したところ、3人からインフルエンザウイルスB型が分離された。ウイルスが分離された患者は1月28〜30日に発病しており、最高体温は38.5、39.0、39.3℃と高いものの、上気道炎は軽く全身症状も少なかった。
3人からの分離ウイルス株を抗原として、B/ハルビン/07/94およびB/北京/243/97に対するフェレット感染抗血清(WHOインフルエンザ・呼吸器ウイルス協力センターより分与)のHI抗体価を測定したところ、抗B/ハルビンが1:40(B/ハルビン/07/94を抗原とした場合1:160)、抗B/北京は1:10(B/北京/243/97を抗原とした場合1:160)であった。
第2の事例は金沢市の南西部に隣接した鶴来町の小学校で、患者数は全校生徒489人のうち6年生の1クラス23人を中心に1〜6年生の計102人であった。
患者の主訴症状は38〜39℃の発熱、咳、頭痛、鼻水、咽頭痛、腹痛であった。6年生の患者5人について、前記同様ウイルス分離検査を行った結果、5人全員からインフルエンザウイルスB型が分離された。この5人は1月30〜31日に発病しており、最高体温が38.7〜39.5℃で、上気道炎、頭痛が主症状であった。
5人からの分離ウイルス株を抗原とした場合、前記2種の抗血清の抗体価は抗B/ハルビンは1:40であったが、抗B/北京 は1:10未満で分離株のHAは抑制されなかった。
なお石川県においては、今回報告したB型のほか昨年11月にAソ連(H1)型、今年1月にはA香港((H3)型と、今シーズンの集団かぜでは多彩なウイルスがみられている。
石川県保健環境センター 尾西 一 大矢英紀 川島栄吉 庄田丈夫
石川県南加賀保健所 松田かず子 林 正男
石川県石川中央保健所 中山他栄子 川島ひろ子