長野県における手足口病患者の流行状況、1998年

手足口病は例年夏場に多い疾患で、本年も流行のピークは8月上旬であったが、流行の長期化がみられ12月まで患者報告が多い状況が続いた。咽頭ぬぐい液から分離されたウイルスは、大きく2種類に分かれた。6月〜8月はコクサッキーA16型(CA16)(59名中36名、61%)が主流を占めたが、9月以降はコクサッキー(C)B2型(51名中16名、31%)が多く検出された。その他にCB1、CB5等が検出されている。また同時期に実施されたポリオ流行予測調査においても、健康者61名中10名(16%)の糞便からコクサッキーウイルスB群が高率に検出されたが、CB2はそのうちの7名から検出されている。分離にはFL細胞、RD-18S細胞およびHEp-2細胞を用い、特にFL細胞に高い感受性を示した。同定に使用した抗血清は、CA16については国立感染症研究所分与単味血清、CB群については市販品を使用した。臨床症状は発疹、口内炎がほとんどで発熱は少なかった。

なお、本県では昨年はエンテロウイルス71型による手足口病が流行した。

長野県衛生公害研究所
白石寛子 宮坂たつ子 竹内道子 中村和幸

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