HIV感染リスク群におけるHIV検査、1995年11月〜1996年12月−米国9州
拡大エイズサーベイランスシステムの一つとして、HIV感染者の記名報告があるが、これは最近のHIVの伝播形式についての情報を提供することにより、公衆衛生当局のHIV予防・治療サービスの計画や評価に寄与している。現在32州が記名サーベイランスを行っており、他の州でも施行が考慮されているが、このようなサーベイランスがあることにより感染リスクのある者がHIV検査を受けることを躊躇することも危惧されている。
今回、異なるHIV報告形式(記名式、個人識別コード式、いずれも行われていない)の9州において感染リスク者における縦断HIV検査サーベイ(HIV testing survey)を行った。ゲイバーから男性同性愛者(MSM)、街での救済活動から静注薬剤常用者(IDUs)、STDクリニックから異性愛者を募集し、質問票によりHIV報告の法律に関する知識、HIV検査歴、HIV検査が遅れたあるいはしなかった理由を調査した。
1995年12月〜1996年11月の間に、2,570名がインタビューされ、このうち200名がHIVに感染していたため、解析から除外した。残りのHIV陰性あるいは検査を受けていない2,370名のうち1,810名(76%)が少なくとも1回は検査を受けていた。危険因子群別では、異性愛者851名中582(68%)、MSM 750名中596(79%)、IDUs 769名中632(82%)が検査を受けていた。検査率は性別、人種では変わらなかったが、年齢群別では、18〜24歳群がより高齢者群より低い傾向があった。
ほとんどの回答者は自分のHIV検査の記名の有無についてどのような方式で衛生当局に報告されるかどうかは知らなかったと答えた(記名式報告の州では60%、識別コード式報告の州60%、いずれも行われていない州66%)。少数の回答者は彼らの州のHIV報告形式を知っていた(記名式報告の州では19%、識別コード式報告の州12%、いずれも行われていない州11%)。また来年1年間に検査を受けるかどうか尋ねたところ、もし匿名で検査が受けられて、結果が衛生当局に報告されないのであれば、全体で84%の回答者が来年1年間の間に検査を受けるだろうと答えた。もし匿名検査ができなければどうするかと尋ねたところ、報告無しの州では72%、識別コード報告の州73%、記名報告の州61%が検査を受けると答えた。
検査を受けないこと(556名)、あるいは検査が遅れること(1,810名)に影響した主要な理由について尋ねたところ、HIV陽性と知ることへの恐れ(それぞれ25%、23%)、HIVに暴露されていないだろうと思った(18%、10%)、陰性だろうと思った(13%、11%)、HIV陽性の可能性について考えたくなかった(8%、9%)、もし陽性でもなにもできないと思った(6%、4%)があげられた。検査を受けたことがない人で、名前が政府に報告される不安を検査を受けない理由のひとつにあげたのは19%で、主要な理由としてあげたのは2%であった。
(CDC、MMWR、47、No.50、1086、1998)