来シーズン(1999/2000)用インフルエンザワクチン推奨株−WHO

今シーズン(1998/1999)のインフルエンザは、12月に複数の流行報告があり、1月までにアフリカ、アジア、ヨーロッパ、北米のいくつかの国で広範囲に流行した。A(H3N2)およびB型ウイルスが主流であり、A(H1N1)型ウイルスの分離は少なかった。

A(H3N2)型は多くの国で集団発生・散発例から分離された。そのほとんどがワクチン株であるA/Sydney/5/97に近いウイルスであり、A/Sydney/5/97類似株を含むワクチンは、ほとんどのH3N2分離株に対するHI抗体産生を誘導した。抗原性の異なる株の分離は少数であり、これらは抗原性も遺伝的にも多様であった。

A(H1N1)型は散発的に分離され、その大部分はA/Beijing/262/95類似株であった。この株を含む今シーズンのワクチンは、接種者に十分なHI抗体を産生した。

B型は広範囲に流行し、ヨーロッパのいくつかの国で主な流行を引き起こした。ほとんどの分離株は、ワクチン株であるB/Beijing/184/93類似株に近似していた。一方、アジア(特に日本)で分離されたウイルスの一部は、B/Shangdong/7/97類似株であった。B/Beijing/184/93類似株を含む今シーズンのワクチンは、流行したB/Beijing/184/93類似株には良好な抗体産生能を示したが、B/Shangdong/7/97類似株に対する反応は明らかに低かった。B/Shangdong/7/97株を含むワクチンは、HI試験でB/Beijing/184/93とB/Shandong/7/97のどちらにも良好に反応する抗体を産生したというボランティアでの調査結果がある。

以上のことから、北半球の冬季1999/2000シーズン用ワクチンとして次の株が推奨される。

 ・A/Sydney/5/97(H3N2)類似株
 ・A/Beijing/262/95(H1N1)類似株
 ・B/Beijing/184/93類似株(最も広く使用されているワクチン株はB/Harbin/7/94、またはB/Shangdong/7/97類似株)

(WHO、WER、74、No.8、57、1999)

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