<速報> Salmonella Oranienburgによる広域集団感染症−兵庫県
1999年1月中旬〜2月下旬に、下痢を伴う風邪様症状で受診した12名の保育園児・小学生等7名の糞便からSalmonella O7が分離(分離機関:県立淡路病院5名、民間検査機関2名)されたと、兵庫県淡路島のUクリニックから2月末および3月初めに管内の津名保健所に連絡が入った。
当研究所に搬入された上記7菌株の菌型は、すべてS.Oranienburgであった。さらに、BlnIあるいはXbaIによるDNA切断産物のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を実施した。すべてそのパターンが同一(図)であることから、これらの菌株はほぼ同一であると推定された。
患児7名全員が下痢を呈し、他に嘔吐(3名)、発熱(4名)、腹痛(1名)、血性便(1名)が認められた。患児の住所は、津名町3名、洲本市2名、北淡町1名、西淡町1名で島内全域にわたるが、津名町の2名が姉弟である他は互いに接触は考えられない。共通の原因食品は不明である。このことから、本サルモネラ感染は島内全域にわたる集団感染症と考えられた。
さらに、当所で1999年1月に分離したS.Oranienburg株(姫路市女児、4歳)も制限酵素切断パターンが同一であったことから(図)、遺伝学的に同一の本サルモネラがさらに県下広域に浸淫している可能性もあり、今後の監視が必要と思われる。
本件では、たまたま1開業医を受診した患児7名から同一サルモネラを分離したが、島内全域ではさらに相当数の患者がいるものと推定されるので、詳しい調査が必要である。
兵庫県立衛生研究所 浜田耕吉 辻 英高 増田邦義