エコーウイルス30型の分離状況(1998年)−滋賀県
滋賀県では、1997年にはエコーウイルス30型(E30)が、無菌性髄膜炎(AM)患者から26株、主として発熱・上気道症状(F/U)の患者から3株分離されたが、1998年にはAM患者から 118株、F/Uの患者から35株分離された。E30の流行は2年にわたって観察されたが、1998年の流行は1997年より大きかった。
E30の月別、対象別分離数は、5月から増え始め6月に急増し10月まであったが、AMおよびF/Uの両者を合わせた数は、7月に最大となった(図1)。E30は6月、7月を中心に流行したことがうかがえる。
E30の年齢別、対象別分離数は、AM、F/Uを問わず、4歳〜7歳に多かったが、0歳〜14歳まで幅広く分離されている(図2)。特徴的なことは、0歳〜7歳にかけ順次増加し、7歳で最大となるが8歳で急激に減少し、7歳と8歳の間には大きなギャップがあることである。E30は7年前の1991年に県内で大流行を起こしていることから、その後生まれた年齢層が今回の流行の主体になったと推測される。E30の性別分離人数は、男96名、女57名で、AM、F/Uを問わず男に多かった。
滋賀県感染症発生動向調査における、AMの年間定点当たり患者数は年次により増減がある。1991年は38.2人と最も多く、次に多かったのは1983年の30.8人であり、この両年の大流行はいずれもE30によるものであった。1998年は15.8人と1981年以来4番目に患者数が多かったが、過去2回のE30によるAMの流行年ほどは大きくならず、約半数に留まった。E30は県内では1997年にも流行し、2年続きの流行であり分散したため、と考えられる。
滋賀県立衛生環境センター
横田陽子 大内好美 吉田智子