S. Oranienburgに汚染されたイカ菓子から検出されたリジン脱炭酸陰性S. Chesterと散発食中毒由来株の比較−広島市

川崎市における「バリバリいか」を原因としたS. Oranienburg集団食中毒に端を発し、今年1月以降広島市や他地域で多発した散発的なS. Oranienburg下痢症の主原因が、青森県の某水産会社が製造したイカ乾製品による広域的な食中毒事例(diffuse outbreak)であったことが明らかとなった。

本市でも、回収された「おやつちんみ」を検査し、この食品がS. Oranienburgにより汚染されていることを確認したが、同時にリジン脱炭酸能陰性のサルモネラが検出された。血清型別の結果、このサルモネラはSalmonella Chester(O4:e,h:e,n,x)であった。このことから、今回のイカ菓子がS. Oranienburgの他にS. Chesterにも汚染されていることを疑い6袋の「おやつちんみ」について汚染菌量をMPN法(buffered peptone→selenite→DHL、MLCB)で測定した。その結果、消費期限が同一の菓子でも<200MPN/100gで汚染の認められないものから、>1.6×106 MPN/100gのものまで汚染菌量にバラツキがみられた。血清型ごとでは、S. Oranienburgは<200〜>1.6×106 MPN/100g、 S. Chesterは<200〜 3.5×105 MPN/100gであり、S. OranienburgよりS. Chesterの汚染菌量の方が高い製品もみられた(表1)。このことから、これらの製品を喫食した患者からは両血清型菌、あるいはどちらか一方の血清型菌が検出されるものと考えられる。

広島市では、昨年4月以降発生が認められていなかったS. Chesterが、今年2月、3月に各2株散発食中毒患者から分離され、感染原因は不明であった。この患者株のリジン脱炭酸能と薬剤感受性パターン(NA、TC、KM、CP、SM、AM)は「おやつちんみ」由来株と同じであり、RAPD法(6種プライマー)で比較した結果も同一パターンであった(図1)。喫食状況は不明であるが患者(8歳)1名からはS. Oranienburg(「おやつちんみ」由来株と同じ性状)も同時検出されており、これらのことを総合すると、この散発患者発生と今回のイカ乾製品によるdiffuse outbreakとの関連性が強く示唆された。

今後、他地域における発生情報、菌株解析の比較などの総合的な解析評価が望まれる。

広島市衛生研究所
高垣紀子 高杉佳子 児玉 実 石村勝之
毛利好江 伊藤文明 河本秀一 笠間良雄
山岡弘二 荻野武雄

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