東京都内で発生した食中毒から検出された腸炎ビブリオ血清型O4:K68について

1998年、東京都内で発生した腸炎ビブリオ食中毒の原因菌として血清型O4:K68が多く検出された。この血清型菌は1997年以前には分離報告例がなく、1998年になって初めて検出されたものであり、抗原構造表にはないOK不一致の株である。本血清型菌について、細菌学的検討を行った。

血清型O4:K68は、東京都内で1998年に発生した腸炎ビブリオ食中毒107事例中、O3:K6に次いで2番目に多く検出された血清型であり、13事例から検出された。その概要はに示した。本血清型菌は7〜9月に検出され、特に時期的な偏りはなかった。これらの事例では、O4:K68単独で検出された事例と、他の血清型菌も同時に検出された事例が認められた。原因食品は魚介類が多いが、特定の食材には限定されなかった。

食中毒由来の本血清型菌18株は、いずれもRPLA法でTDH産生、PCR法でtdh +、trh −、ウレアーゼ非産生であった。さらに、2種類の制限酵素、Not IおよびSfi Iを用いたパルスフィールドゲル電気泳動法によるDNA解析でもそれらは同一のパターンを示した。

以上の成績より、1998年に食中毒事例から新たに検出されたOK不一致の血清型O4:K68は、同一起源である可能性が高いことが示唆された。

東京都立衛生研究所微生物部細菌第一研究科
尾畑浩魅 甲斐明美 柳川義勢 諸角 聖

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp

ホームへ戻る