北西イングランドで発生したクリプトスポリジウム集団感染−英国
英国北西部カンブリアで、通常の水道水検査でクリプトスポリジウムの汚染が見つかり、それに引き続いて給水地域にクリプトスポリジウム症の集団発生を見た例の報告である。
発端は、1999年4月23日に英国北西部カンブリアで水道水(4月20日の定期検査採取分10l)中にクリプトスポリジウムのオーシスト(3.4個/l)が検出されたことに始まる。翌4月24日に浄水場、感染症対策顧問医師および地域疫学担当官による対策会議がもたれたが、ほとんどの汚染水道水が使用された後であること、すでに汚染レベルが通常の値(≦ 0.2/l)に復していることから、煮沸勧告は行わず、疫学調査を強化することで合意した。
翌週には数箇所の保健当局がクリプトスポリジウム症の急激な増加を報告している。最も被害の大きかった地区は北西ランカシャーの4カ所であった。北西部感染症監視センターは4月1日〜5月12日までに217例の発生があり、そのうちの188例は4月25日以降の発生であったことを報告している。25日以降17日間の患者発生数を10万人あたりの年間発生数に換算すると270人に相当する。ちなみに1998年のイングランド・ウェールズにおける本症の発生率は10万人あたり7名である。本事例の詳細な報告は目下作製中である。
患者分離株はPHLS食品衛生検査所で解析され、すべてがCryptosporidium parvumのgenotype 2(動物型)と同定された。また、水源周辺の放牧ヒツジ32頭の検便により12頭からクリプトスポリジウムが検出されている。
訳者注:本水道施設は濾過装置を持っていなかった。原水はスクリーンにより粗大ゴミを取り除き、塩素処理後に給水していた。
(CDSC、CDR、9、No.20、175、1999)